東京メトロ「新御茶ノ水」駅から2分の至近距離にあります。
守貞謾稿で、「江戸鮓に名あるは・・・松の鮓、与兵衛鮓、毛抜鮓」として紹介された名店です。
守貞謾稿には、「へっつい川岸(がし)毛抜鮓は、1、2文にて各々笹巻にす。巻きて後、桶に積み、石をもってこれを圧す」とかかれています。
竈河岸(へっついがし)とは現在の東京都中央区日本橋富沢町付近です。そこに、初代松崎喜右衛門が元禄15年(1702年)に創業し、現在は、千代田区神田小川町で営業しています。
「笹巻」は、笹には殺菌作用があり、古くは兵糧を包むのに使っていたということに習い、「けぬき」は、魚の骨をけぬきで抜いて鮨を作るのをみて、それが評判になって、「けぬきすし」とも呼ばれるようになり、商品名にしたということでした。「けぬき」とは毛や骨を抜く道具「毛抜き」のことで、現在でも、毛抜きを使って鮨だねの魚の骨を抜いているとのことでした。
店内に由来記が掲げられていました。
外観は、上の写真のように下町のすし屋さんの風情です。
店内もこじんまりとしていて、入ると正面がカウンターです。テーブルが3つあって店内でも食べられるようになっていますが、基本的にはお持ち帰りがメインになっています。
従って、良い意味で高級店の堅苦しさはありません。気安くお店に入ることができます。
寿司は、笹の葉で巻いた押し寿司の一種で、保存食とするため飯を強めの酢でしめてあるので、普通の鮨より酸っぱく感じますが、それが、毛抜鮨の特徴です。
魚類は、一日塩漬けにした後、酸度の強い一番酢に漬けて一日しめ、その後、骨を抜いて少し酸度の弱い二番酢に三、四日漬けているそうです。
そして、すし飯は、日持ちよくするために、粘りを出す感じに作っているそうです。
私が食べたネタは、おぼろ、卵、光り物(いなだ)、白身魚(かんぱち)、えびの5種類に、干瓢入り海苔巻きが2つで合計7個でした。
巻いてある笹も本物です。熊笹は、一枚一枚水で洗っているとのことでした。
店内では潮汁がついて1620円、お持ち帰りは7個で1575円でした。