日米和親条約② (江戸検定今年のお題「幕末」)
 日米和親条約について今日も書いていきたいと思います。
 ペリーと日本全権交渉団の交渉が1ヶ月間にわたり行われた後、日米和親条約は嘉永7年(1854)3月3日に調印されました。

【和親条約の内容】  
c0187004_816368.jpg 日米和親条約は、全体で12条からなっています。
 その主な内容は
 ①下田と函館への寄港を認める。
 ②船員と漂流民を保護する。
 ③下田に領事の駐在を認める。
 ④治外法権を認める。
 ⑤最恵国待遇を認める 
というもので、不平等条約でした。
 
 右写真は、ペリー艦隊の旗艦ポーハタン号です。「下田了仙寺蔵」


【日米和親条約は、4ヶ国語で書かれている】 
c0187004_8162333.jpg 日米和親条約の原本は日本では焼失してしまっていますが、アメリカ側の原本は、ワシントンの国立公文書館に残っているそうです。
 それによると、条約文書は、日本語、英語、オランダ語、中国語で書かれている4種類のものがあるそうです。
 そして、英語の文書には、ペリーだけのサインで、林大学頭の署名はなく、日本語の文書には、林大学頭の署名だけで、ペリーのサインはないそうです。
 それは、林大学頭が、外国語で書かれたものには署名できないと頑強に主張したため英語の文書に林大学頭の署名はないんだそうです。

 このことについて、ペリー艦隊日本遠征記においても、次のように書かれています。
 1854年3月31日、金曜日、提督はいつもの随員を伴って条約館に赴き、到着するやさっそく英語で書かれた条約の写し3通に署名し、それを合衆国の通訳ウィリアムズ氏とポートマン氏が認証したオランダ語、中国語の訳文の写し3通とともに、委員たちに手交した。同時に日本委員は、同国政府を代表して、それぞれ日本語、中国語、オランダ語で書いた条約の写し3通を提督に手交した。そこには皇帝がそのためにとくに選んだ4人の委員の署名が入っていた。
 (日本側が署名をして渡した条約の写しに英語のものが入っていないとことに注目してください)
 上の写真は西郷隆盛に似ているところから「西郷ペリー」と呼ばれているペリー像です。「下田了仙寺蔵」

 【和親条約の全条文】 
 さて、最後に、江戸文化歴史検定1級を受験しようとしている人など関心のある方のために、日米和親条約の全条文を、万来舎の「ペリー艦隊日本遠征記」から記載しておきます。
 時間のある時にお読みください。
 
 次にあげるのが承認された条約である。
 アメリカ合衆国と日本帝国とは、両国民間に確固として永続する誠実な親睦を確立することを願い、条約または一般的な和親協約をもって、今後両国が交際する際に相互に守るべき規定を明確に定めることを決定した。このきわめて望ましい目的のため、合衆国大統領は、その委員として遣日特命大使マシュー・カルブレイス・ペリーに全権を与え、日本の偉大なる君主は、その委員として林大学頭、井戸対馬守、伊沢美作守、鵜殿民部少輔に同じく全権を与えた。
 また、上記の委員らは、その全権を取り交わし、適切に前述の諸事項を考究したのち、次の諸事項を取り決めた。

第1条 アメリカ合衆国と日本帝国、および両国民の間には、人格または場所の例外なく、完全かつ永久なる普遍的平和と誠実かつ懇篤なる和親とが存するものとする。
第2条 伊豆国の下田港と松前領の箱館港は、アメリカ船舶の受け入れ港として、日本人に許容されるものとする。この2港においては、日本人がそれを有する限り、薪水、食料、石炭、その他の必要な物資の供給を受けることができる。下田港は本条約調印のうえ即時開港し、箱館港は日本暦の明年同日以後、即時開かれるものとする。
ただし、提供すべき物品の値段表は日本役人から渡され、その支払いは金貨または銀貨をもって行われるものとする。
第3条 合衆国の船舶が日本の沿岸において座礁または難破した場合、日本船はその船舶を救援し、その乗組員を下田または箱館に護送し、身柄の受け取りに任じられた同国人に引き渡すものとする。同様に避難者の所有する物品はすべて返還されるものとし、両国いずれかの海岸に打ち上げられたアメリカ人および日本人の救助と扶養の際に生じた出費は弁済するには及ばない。
第4条 合衆国の遭難者およびその他の市民は、他の国におけると同様自由であり、監禁されてはならないが、公正な法律には従うものとする。
第5条 下田および箱館に一時的に居留する合衆国の遭難者および他の市民は、長崎におけるオランダ人および中国人のように拘束および監禁に服することなく、ここに添付された付図に描かれている、下田港内の一小島より日本里程で7マイル(里)の範囲内では、随意の場所に赴く自由を有するものとする。同様に箱館においても、合衆国艦隊が同地を訪問したのちに定められる範囲内では、随意の場所に赴く自由を有するものとする。
第6条 ほかに必要とする物品、または取り決めを要するなんらかの業務があれば、その事項を決定するため、両当事国間で慎重に審議するものとする。
第7条 開港された港に寄港する合衆国の船舶は、金、銀貨および物品と他の物品との交換を、日本政府がこの目的のために暫定的に定めた規則に従い行うことができる。ただし、合衆国の船舶は、日本人が交換を欲しない物品はすべて持ち帰ることができるものとする。
第8条 薪水、食料、石炭および必要な物品は、この目的のために任命された日本役人の周旋によってのみ調達することとし、他の方法によってはならない。
第9条 他日、日本政府がこの条約において合衆国およびその市民に許容していない特権と便益を、他の一国民または諸国民に許容する場合には、なんらの協議も遅滞もなく、合衆国およびその市民にも同じ特権および便益を許容することを取り決める。
第10条 遭難した場合、または荒天に強いられた場合を除き、合衆国の船舶が下田および箱館以外の日本の港に渡来することを許可しないこととする。
第11条 もし両国政府のいずれかが、その取り決めを必要とみなす場合には、本条約調印の日より18ヶ月を経たのちに、合衆国政府はいつでも下田に駐在する領事または代理官を任命することができる。
第12条 この約定を取り決め、しかるべく調印されたうえは、アメリカ合衆国および日本、ならびに両国の市民および臣民は義務として、忠実にそれを遵守するものとする。また上院の協議と同意を得たうえは、合衆国大統領によって批准認可され、また日本の尊厳なる主権者によって批准認可されるものとする。その批准は調印の日より18ヶ月以内、または可能ならばさらに早期に交換されるものとする。

 主イエス・キリストの1854年3月31日、嘉永7年3月3日、神奈川にて。
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by wheatbaku | 2010-03-29 06:20 | 『幕末』 | Trackback
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