長崎海軍伝習所 (勝海舟③ 江戸検定今年のお題「幕末」)
 今日は、長崎海軍伝習所での勝海舟の活躍を見ていきたいと思います。

【大久保一翁の推薦により世に出る】 c0187004_2244979.jpg 
 嘉永6年(1853年)、ペリーが来航し開国を要求されると、老中首座の阿部正弘は幕府の決断のみで鎖国を破ることに慎重になり、海防に関する意見書を幕臣はもとより諸大名から町人に至るまで広く募集した。これに勝も海防意見書を提出しました。
 また、阿部正弘は、人材の抜擢を行いました。抜擢された人物は川路聖謨、井上清直、水野忠徳、岩瀬忠震などがいます。
 その中に一人に大久保忠寛(一翁)がいました。この大久保忠寛の推薦により海舟は、安政2年(1855)に 下田取締役掛手付に登用されました。ペリー来航に際して提出した意見書も登用の一助になったといわれています。
 最初の仕事は、勘定奉行の石河政平と目付の大久保忠寛に随行して、伊勢・大阪の巡視でした。
 上の大久保忠寛(一翁)の写真は、「国立国会図書館」蔵です。

【長崎伝習所に赴く】  
 安政2年(1855)10月に、長崎に海軍伝習所が開設されました。
 海軍伝習所は、オランダから幕府に贈られた軍艦(のち観光丸)を練習用にあて、オランダ海軍士官を教官として、開設されました。
c0187004_2291164.jpg 責任者には、当時、長崎在勤の目付であった永井尚志(なおゆき)(「なおむね」とも読みます)が任命されました。
 そして、永井が住んでいた長崎奉行所の西役所に開設されました。
 その伝習所の幹部として、勝海舟と矢田堀恵蔵が任命されました。
 外国人からはじめて講義を受けるので、当初は苦労したようですが、3ヶ月もすると慣れてスムーズに授業も進むようになったようです。
そ して、一期の伝習が終わると、江戸に軍艦教習所を作って、伝習生を教官にしようということになり、ほとんどの伝習生が江戸に帰ることとなりました。
 しかし、海舟は、引き続き、伝習所に残るよう指示があり、長崎に残ることになりました。
 安政4年(1857)5月には、永井尚志の後任として、木村喜毅(よしたけ)が着任しました。
 後に、木村喜毅とは、咸臨丸で一緒にアメリカに行くことになります。

【カッテインディーケの「長崎海軍伝習所の日々」】
c0187004_21363723.jpg  そして同じ安政4年(1857)8月には、幕府がオランダに発注していた「ヤーパン号」(改名して「咸臨丸」)に乗ってきたカッテンディーケらを教師に2期の伝習が開始されます。
 カッテンディーケが滞在したのはわずか1年ほどでしたが、伝習生たちに大きな影響を与えました。
 カッテンディーケには、「長崎海軍伝習所の日々」という著作があり、「艦長役の勝氏はオランダ語をよく解し、性質も至って穏やかで明朗で親切でもあったから、皆が非常な信頼を寄せていた。どのような難問題でも彼が中に入ってくれればオランダ人も納得した」と書いています。
 教官の中には、医師のポンペも加わっていました。そして、ポンペにより、近代医学が日本に伝えられました。この時の生徒に松本良順がいました。この二人が、日本の近代医学の発展に大きな役割を果たすことになります。

【島津斉彬の知遇を得る】 
 安政5年(1858)には、練習航海で、薩摩の山川港に停泊します。
c0187004_22221391.jpg この時、薩摩藩主島津斉彬が咸臨丸を訪ねてきます。
 そして、親しく会話をするとともに、斉彬の勧めにより薩摩藩の海岸防備体制も見ることができました。
 このことにより、海舟は薩摩藩に名前を知られるようになりました。
 また、この時、西郷隆盛と会うことはできませんでしたが、斉彬から、紹介されており、これ以後の西郷との出会いに大きな影響を与えることとなります。
 勝海舟は引継ぎの役割から長崎海軍伝習所の第一期から三期まで足掛け5年間を長崎で過ごしましたが、安政6年(1859)、江戸に帰ることとなりました。
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by wheatbaku | 2010-05-14 05:48 | 『幕末』 | Trackback
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