謹慎生活(徳川慶喜⑥ 江戸検定今年のお題『幕末』)
 連続して書いて来た「徳川慶喜」ですが、今日で一区切りにしたいと思います。
 今日は、慶喜の謹慎生活  について書いてみたいと思います。 

 主戦論の高まりの中で、幕府軍は、慶応4年1月2日、京都に向け進発します。
 そして、鳥羽・伏見の戦いで、幕府軍は、官軍に敗北します。
 慶喜は、戦うポーズをとりながら、こっそり大阪城を抜け出して、幕府軍艦「開陽丸」で、老中板倉勝静・会津藩主松平容保・桑名藩主松平定敬などを連れて、江戸に戻ってきます。
c0187004_22524129.jpg
 徳川慶喜が「開陽丸」から、下船したのが、旧浜離宮恩賜庭園の「将軍お上り場」です。
 ここで、勝海舟が、慶喜を出迎えたそうです。
 旧浜離宮から慶喜は馬に乗って江戸城に戻ります。
 右の写真は、旧浜離宮恩賜庭園の「将軍お上り場」です。
 なお、14代将軍家茂の亡骸もここから上陸しています。

【大慈院での謹慎生活】 
 そして、その後は謹慎生活に入ります。
 2月12日、寛永寺の子院大慈院に入り謹慎しました。
 なぜ、寛永寺でしかも大慈院で謹慎したかについて、寛永寺の浦井執事長が書かれているので、要約します。
 可能性の高い増上寺が選ばれなかったのは
  ①増上寺では官軍が攻めてくる方向に近寄ることになるので、それを避けた
  ②謹慎中の慶喜を警護するのが難しい地勢にあること
 これに対して寛永寺は、
  ①江戸を離れる場合、まず第一に考えられるのは水戸であり、ついで日光や奥州です。
   上野は、そのいずれにも近いところにある。
  ②上野は、山であり、警護しやすい場所であった。
 以上のことから寛永寺が選択されたと考えています。
 次いで、なぜ本坊選ばなかったかは、勤皇の志の高い慶喜が、公現法親王に迷惑がかかるのか避けたのではないかと浦井執事長は推測しています。
c0187004_22521011.jpg  また、なぜ大慈院が選ばれたかですが、それは人間関係によると、大慈院は5代将軍綱吉と8代将軍吉宗の別当寺であり、慶喜が時の住職常達と深い面識があったことから選んだと考えています。
 さらに、大慈院は、一般の人の立ち入りが禁止された地域にあり、大慈院の門前は見晴らしがよく、広場の向かい側には多くの学僧が起居している勧学講院がありました。
 こうした条件から部外者が大慈院に近づくのは非常に困難でした。
 さらに、ここからは、千住も近く万一の場合に千住に立ち退くのに便利でした。
 こうした諸条件を検討して、大慈院になったのだと考えています。
 慶喜が謹慎した大慈院の地には、現在、寛永寺の根本中堂(上の写真)が建っています。根本中堂は、明治12年に川越喜多院の本地堂を移築し再建したものです。
 慶喜が謹慎した葵の間は非公開とされています。

【その後の慶喜】 
 慶喜は、慶応4年4月11日まで、大慈院で謹慎し、11日早朝に水戸に立ち退き、水戸では弘道館で謹慎を続けます。
c0187004_2351113.jpg さらに、駿府に転居し、静岡で謹慎しました。1年後に謹慎がとかれましたが、慶喜は東京には戻りませんでした。
 明治11年に明治天皇が静岡を訪問した時にも出迎えるよう求められた時も、病気を理由に断っています。
 その慶喜が東京に戻ったのは明治30年11月です。そして、皇居に参内して明治天皇との会見が実現したのは、明治31年3月2日でした。
 明治35年には公爵に叙せられ、徳川宗家とは別に徳川慶喜家を興し、貴族院議員にもなりました。

 そして、大正2年11月22日、小日向第六天の自宅において死去しました。
 享年77歳。徳川歴代将軍の中でも最長命でした。
 右の写真は「慶喜終焉の地」の石碑です。
 慶喜の屋敷跡は、現在、「国際仏教学大学院大学」となっています。その正門にあります。
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by wheatbaku | 2010-10-26 05:25 | 『幕末』 | Trackback
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