今日から、その老舗の中から、江戸に関係する老舗3店舗をご案内します。
まず、今日は 「人形町亀井堂」 です。
人形町亀井堂は、甘酒横丁の中ほどにあります。東京メトロ「人形町」駅A1蕃出口からあるいて2分です。
【佐々木信濃守のお孫さんが創業】
人形町亀井堂の創業は昭和4年ですから、江戸時代からのお店ではありませんので、副題の江戸からの和菓子は少し違うのですが、江戸とは深く関係があるのでご紹介します。
しかし、このお店は、幕末の南町奉行と北町奉行を務めた佐々木信濃守顯發(あきのぶ)という人のお孫さんが創業したお店です。
佐々木信濃守という方は、今は知る人はほとんどいませんが、当時は名奉行といわれ、落語の「佐々木政談」として取り上げられるほど有名な奉行です。そのお孫さんが創業者だそうです。
【大出世した佐々木信濃守】
もともと佐々木信濃守顯發は、飛騨郡代の手代の子供として生まれました。
その人が、南北町奉行や外国奉行などの要職を歴任しました。
江戸に出て、御家人株を買い、御徒となり、その後、支配勘定となり順調に出世をし、嘉永4年(1851年) 奈良奉行になり、その時、従五位下信濃守叙任しました。
店内には、佐々木信濃守に対して朝廷が信濃守に任じることを通知した命令書(これを宣旨といいますが)が飾られています。
宣旨というものを初めて見ましたが、朱印等が押されていないのですね。
詳しい人がいましたら、コメントで教えてください。
【名物瓦せんべいは和風カステラ】
人形町亀井堂の名物は瓦せんべいです。
人形町亀井堂は、明治六年、神戸元町に創業した亀井堂総本店からのれん分けされた店です。
瓦せんべいはカステラと同じ材料でつくられたものだそうです。
ふっくら焼くとカステラで、硬く焼くと瓦せんべいになると思えばよいそうです。
また瓦せんべいの生地に刷毛のみで砂糖細工をほどこす伝統技法「刷毛引き」をした瓦せんべいも有名です。
瓦せんべいを買って食べましたが、カステラ風味で、何枚も食べられる味でした。我が家でも大好評でした。
大江戸散歩でご案内したお客様にも大変好評でした。
【京橋の文字は佐々木信濃守長男の字】
中央区の京橋という地名は、京橋川にかかる京橋という橋があったことによります。
現在は京橋川は埋め立てられ、京橋という橋はなくなりました。
しかし、中央通りにその京橋の親柱が残されています。
その「京橋」の親柱の「京橋」の字は、佐々木信濃守顯發の長男で漢学者の佐々木支陰が揮毫したものです。
現在は「京橋碑」として銀座中央通りに残されていて、中央区の区民有形文化財に指定されています。
赤印が人形町亀井堂です。