鼠小僧次郎吉の墓のすぐ隣に「猫塚」と書かれた碑があります。
これは、名前のとおり、猫の供養のために建てられた塚です。
この猫塚は文化3年に建てられています。
【恩返しをした猫の供養】
この猫塚の元となる話はいくつかの物語があるそうです。
しかし、人名や地名が違ってはいますが、どれも猫が自分を大切にしてくれた飼い主へ、恩返しをし、その猫が死んだ後、主人がその猫を弔うため、回向院境内に「猫塚」を築くお話です。
それにしても、鼠と猫が仲良く供養されているのが、回向院らしいと思います。
さて、猫塚にまつわる話ですが、豊島寛彰氏の隅田川とその両岸」には次の二つの話が載っています。
「文化年間、日本橋に住む時田半治郎という人が、家計が窮迫したうえに病気となって苦しい毎日を送っていたが、日頃かわいがっていた猫が小判をくわえてきて長年の恩にむくいた。
それ以来、時田家の家運が次第に開けて、病気も治り家運が挽回し繁栄していった。
時田家では、この猫を徳として感謝していたが、猫が死ぬとその霊を回向院に埋葬し、墓をたてた」というお話です。
また、「ほかの言い伝えでは、両国米沢町に住む魚屋利兵衛は苦しい生活に年末をどう過ごそうかと頭をなやましていた時に、一匹の猫が時田某なる家から小判をくわえてかえり、利兵衛を助けたが、猫は時田家に殺されたしまった。利兵衛が猫をあわれみ墓をたてた。」という話もあるそうです。
【犬猫供養塔】
回向院には、猫塚の近くに「犬猫供養塔」も建てられています。
これは義太夫協会が たてたものです。
犬や猫を、太鼓や三味線のためにつかったことから、犬と猫の霊を供養するために建てたようです。
その供養塔の下部には、犬と猫の像が付属されています。
また、その脇には糸塚も建てられています。
回向院は、このほか、「オットセイ供養塔」や「小鳥供養塔」もあり、人間のほか動物の供養を行っています。
そのため、お彼岸には、ペットのお墓参りに来る人も大勢いるようです。