松陰の最期(八重の桜 第5回「松陰の遺言」
 松陰の最期がどうであったかについて書いた記録が残されているので、今日は、松陰の最期について書いてみます。

 吉田松陰の最期は、非常に見事なものだったと伝えられていると聞いていましたが、それを裏付ける記録もあるようです。 それも複数あります。
 それを読んでみると、「八重の桜」で描かれているような動揺あるいは興奮した姿ではなかったようです。

c0187004_8423592.jpg まず、長州藩から立会人として出席した江戸留守居役小幡彦七は、評定所での死罪申し渡しの様子を書いています

 松陰は、死罪の判決の言い渡しを落ち着いて静かに聞いて退廷した後、朗々と自作の漢詩を詠いあげ、奉行たちも黙して聞いていたと書いています。
 詳細は、最後尾に書きましたので、お時間があればお読みください。

 松陰が詠みあげた漢詩(読み下し文)は次の通りです。
  吾、今、 国の為に死す
  死して君親(くんしん)に負(そむ)かず
  悠悠(ゆうゆう)たり 天地の事(こと)
  観照(かんしょう) 明神(めいしん)に在り

 
 また、佐倉藩の漢学者である依田学海は、八丁堀の同心吉本平三郎から聞いた話を11月8日の日記に書いています。
 それによると、「評定所に出るときには長く労をかけたとやさしく言葉をかけ、死刑にのぞんでは、鼻をかみたいといって心しずかに用意して打たれた。死刑にに臨んで、これほどゆったりと落ち着いている人物はみたことはなかった」と述べています。
c0187004_21202095.jpg
 依田学海は次のように記しています。
 「過ぎし日死罪を命ぜられし吉田寅二郎の動止には人々感泣したり。奉行死罪のよし読み聞かせし後、畏り候よし恭敷く御答申して、平日庁に出づる時に介添せる吏人に久しく労をかけ候よしを言葉やさしくのべ、さて死刑にのぞみて鼻をかみ候はんとて心しづかに用意してうたれけるとなり。凡そ死刑に処せられるもの是れ迄多しと雖も、かくまで従容たるは見ず」

 最後に、播州明石の、松村介石は、山田浅右衛門から聞いた話として松陰の最期はあっぱれであったとして次のように書いています。

 「愈々(いよいよ)首を切る刹那の松陰の態度は真にあつぱれなものであつたという事である。悠々として歩を運んで来て、役人共に一揖(いちゆう)し、「御苦労様」と言つて端坐した。その一糸乱れざる、堂々たる態度は、幕吏も深く感嘆した」


【長州藩江戸留守居役小幡彦七の記録】
 「奉行等幕府の役人は正面の上段に列座、小幡は下段右脇横向に座す。ややあって松陰は潜戸から獄卒い導かれて入り、定めの席に就き、一揖(いちゆう)して列座の人々を見廻す。 、眼光炯々として別人の如く一種の凄味あり。直ちに死罪申し渡しの聞読み聞かせあり。「立ちませ」と促されて、松陰は起立し、小幡の方に向かい微笑を含んで一礼し、再び潜戸を出づ。その直後朗々として吟誦の声あり。曰く「吾今為国死。死不負君親。悠悠天地事。観照在明神と。時に幕吏等なお座に在り、粛然襟を正して之れを聞く。小幡肺肝を抉らるるの思あり。護卒亦傍より制止するを忘れたるものの如く、朗唱終わりて我に帰り、狼狽して駕篭に入らしめ、伝馬町の獄に急ぐ」
 

 右上段の写真は、小伝馬町牢屋敷の跡に建てられた「大安楽寺」です。
 大安楽寺は、牢屋敷の中の刑場のあった辺りに建てられています。
 右下段の写真は、小伝馬町牢屋敷の中にあった刑場跡に建てられた延命地蔵菩薩像です。
 ここで吉田松陰も斬られました。
 地蔵菩薩像の台座には、山岡鉄舟の書で「為囚死群霊離苦得脱」と、ここで亡くなった多くの囚人を慰霊する言葉が刻まれています。
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by wheatbaku | 2013-02-05 08:00 | 大河ドラマ | Trackback
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