ご覧になった方もいらっしゃると思います。
今日は、この「フルベッキ写真」について書いてみたいと思います。
この記事の概要は次のようなものです。
オランダ生まれの宣教師フルベッキと佐賀藩士ら計7人が移った古写真のガラス原板が見つかり、写真家上野彦馬が撮った可能性が高いと倉持元東大特任研究院が確認した。
この原板と「フルベッキ写真」と比較した結果、7人中6人がほぼ同じ姿形で写っているため、二つ同時期の撮影と考えられ、古写真研究家の高橋信一元慶応大学准教授は「原板からも(フルベッキ写真の)志士の集合写真説は完全に否定された」とする。
と書かれていました。
ところで、「フルベッキ写真」というのは、オランダ生まれの幕末の宣教師フルベッキを囲んで撮影された44名の武士による集合写真の俗称です。
下の写真が「フルベッキ写真」です。この写真はウィキメディア・コモンズより転載させていただいています。
ここに写っている人たちが、坂本龍馬や西郷隆盛、高杉晋作をはじめ、明治維新の志士らであると言われています。
この写真を知ったのは、昨年の伏見の寺田屋を訪ねた時、寺田屋に展示されていて初めてしりました。
寺田屋には、「フルベッキ写真」と説明文とともに「写真に写っている人物名」も掲示されていました。
右下の写真がそれです。
写真に書き込まれている人物名を見ると、勝海舟、大村益次郎、中岡慎太郎、江藤新平、大隈重信、桂小五郎、伊藤博文、村田新八、小松帯刀、大久保利通、西郷隆盛、西郷従道、別府晋介、高杉晋作、坂本龍馬、副島種臣、横井小楠、陸奥宗光、五代友厚、吉井友美らの名前が書かれています。
この説明写真によると、中央の外国人がフルベッキで、左真後ろにいるのが西郷隆盛、フルベッキから一人おいて右に写っているのが高杉晋作となっています。 .
錚々たるメンバーですね。
この写真は、明治28年に、雑誌『太陽』(博文館)で佐賀藩の藩校「致遠館」の学生達の集合写真として紹介されました。
しかし、昭和49年、肖像画家の島田隆資が雑誌『日本歴史』に、この写真には坂本龍馬や西郷隆盛、高杉晋作をはじめ、明治維新の志士らが写っているとする論文を発表され、その後、写真に写った人物の名前をつけたものまで販売されるようになり、「フルベッキ写真」として広まったようです。
読売新聞の記事では、
原板には致遠館の教官も確認されるといい、「フルベッキ写真」が同館の生徒を写したものであるのは間違いないようだ
と書かれています。
つまり新聞のタイトル通り「幕末の志士集合写真 実は佐賀藩藩校の生徒」ということのようです。