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町奉行所の歴史(町奉行3)
 今日は、町奉行所の歴史を書きます。
 その中で、前回の「町奉行」で宝永4年の奉行所の移転に関連したご質問がありましたので、その質問への回答も含めて説明をします。


 それでは最初に町奉行の成立について書いてみます。

町奉行の成立
 徳川幕府の行政機構としての町奉行の成立は、寛永年間と言われています。
しかし、徳川家としては、松平家時代の三河統一後、岡崎に岡崎奉行を設置して、本多重次、高力清長、天野康景の3人を岡崎奉行に任じたことはよく知られています。
 天正18(1590)の徳川家康関東入国以降は、板倉勝重と彦坂元正が町の「御代官」として町支配を担当していました。
町奉行所の歴史(町奉行3)_c0187004_1032387.jpg    慶長6年(1601)には、徳川秀忠の側近であった青山忠成・内藤清成が「関東総奉行」に任じられ、町支配を担当しましたが、江戸の町だけでなく関東全体を担当していました。
 その後の歴史について「徳川幕府事典」には次のように書かれています。
 関東総奉行の職掌が、町奉行、勘定方、関東郡代に分けられ、米津田政と土屋重成が町奉行となりましたが、幕府重役に位置付けられていました。
 寛永8年(1631)に加々爪忠澄(かがづめただすみ)・堀直之が町奉行専任を命じられ、奉行所も私宅から分離して役宅が与えられました。しかし、この二人は5千石を超える大身旗本でした。その後、寛永15年(1638)の神尾元勝、寛永16年の朝倉在重が就任し。町奉行は3千石級の中級旗本の極官となりました。

 次いで、町奉行所の所在地について説明します。

町奉行所の所在地

 町奉行所は、奉行の私邸と役宅を兼ねていて、江戸市民の間では一般に「御番所」とよばれていましたが、ここでは「奉行所」と呼ぶことにします。

 寛永8年、堀直之が北町奉行に任じられた時の北町奉行所は常盤橋御門内にありました。
 一方、加々爪忠澄が南町奉行に任じられた時の奉行所は呉服橋にありました。
 しかし、呉服橋御内にあった北町奉行所は、元禄11年(1698)に類焼し、鍛冶橋御門内に移転しました。
 さらに元禄15年には、呉服橋御門内に新番所が建てられ、中町奉行所と称されました。

 この時点での配置は、北から、常盤橋御門内に北町奉行所、呉服橋御門内に中町奉行所、数寄屋橋御門に南町奉行所ということになりました。
 そして、宝永4年に常盤橋御門内にあった北町奉行所が数寄屋橋御門内に移転します。
 この移転により、常盤橋御門内にあった北町奉行所が、数寄屋橋御門内に移転して南町奉行所と呼ばれるようになりました。 
 この移転および名称変更により、宝永元年から北町奉行であった松野河内守助義は南町奉行となりました。
 なお、これ以降、南町奉行所は数寄屋橋御門内に幕末まで置かれました。
 この説明でtastuさんのご質問の回答になると思いますがいかがでしょうか?
 

 松野河内守助義は享保2年まで南町奉行を勤めました。この松野河内守の後に南町奉行となったのが大岡越前守忠相です。
 また、鍛冶橋御門内にあった南町奉行所は、場所はかわりませんでしたが、名称が中町奉行となりました。
 これに伴い、従来南町奉行であった坪内能登守監が中町奉行となりました。
 また、呉服橋御門内にあった中町奉行所も場所は変わらず、名称が北町奉行所となり、従来中町奉行であった丹羽遠江守長守は北町奉行となりました。
 その後、北町奉行所は享保2年(1717)に、常盤橋御門内に移転しました。
 一方、鍛冶橋御門内の中町奉行所は、享保4年(1719)に廃止となりました。
 北町奉行所は、文化3年(1806)に呉服橋門内に移転し、それ以降幕末まで、北町奉行所は呉服橋御門内にあり、南町奉行所は数寄屋橋門内となりました。
by wheatbaku | 2013-11-10 09:58 | 町奉行

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