人気ブログランキング | 話題のタグを見る
三廻り同心(町奉行17)
 さて、今日は、与力同心の分掌の最後として同心の花形「三廻り」についてお話します。

 与力同心の分掌の中で、裁判・警察を担当する分野では、主に裁判を担当したのが与力で、警察つまり犯人逮捕を担当したのが同心でした。
三廻り同心(町奉行17)_c0187004_17102865.jpg その犯人逮捕を担当したのが「三廻り」と呼ばれる同心だけで組織した分掌です。
 三廻りとは、「定廻り」「臨時廻り」「隠密廻り」を言います。
 三廻りの仕事は、「捕物並びに調べもの」と言われ、盗賊の逮捕と探索がねらいでした。
 三廻りは、同心の中でも最高の地位でした。

 最初に「定廻り」について書きます。
 「定廻り」の職務は、法令違反者の摘発・逮捕、風聞の探索です。
 江戸市中を同じ道順を毎日巡回したので、その名がつきました。
 市中を歩きながら異変を取調べ、挙動不審の者がいれば取り押さえます。
 また、町々の自身番に立ち寄って異変がないかどうか尋ねます。
 「定廻り」は、働き盛りの健康な者が勤めます。だいたい45.6から50歳がらみだったようです。このように 年輩の同心が勤めたのは、江戸町内のことは複雑でよほどの熟達者でないと難しかったからだそうです。
 同心は、髪も小銀杏と言う独特の結い方をして朱房の十手を後に指して歩いたので、一目見て、すぐそれと分かったようで、江戸三男に数えられていました。

 次は、「臨時廻り」です。
 「臨時廻り」は定町廻りの多忙を補うために設けられたと言われています。
 「定町割り」のように大体定まった道順を巡察するのではなく、臨時に各方面に出かけました。
 「臨時廻り」は「定町廻り」を引き上げて「臨時廻り」にするため、「定町廻り」より少し格が上であったと言われ、事実「臨時廻り」の方が権力もあり、すべて威勢もあったという回顧談があるようですが、南先生によると臨時廻りから定町廻りに異動している同心がいることから、少なくとも文政~嘉永年間は該当しないとされています。

 「隠密廻り」は三廻りの筆頭とされ、江戸市中においても特別に権威あるものとみなされていました。
 「隠密廻り」は、まさに名前の通り人に知られずに仕事しました。
 その職務は、探索が第一の役目でした。江戸市中の風聞や風説を敏感にとらえ報告したり、町奉行の命令を受けて捜査するものでした。
 それは、犯罪検挙よりも治安維持・風俗取締りが重点とされていました。
 「隠密廻り」の行動範囲は、江戸市中に止まらず、江戸以外にまで出張って捜査することもありました。
by wheatbaku | 2013-12-20 08:30 | 町奉行

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事