今日は、6回目の模擬試験の正解をアップします。
今回は、神田明神編の「神社のおしえ」をベースに出題しました。
そのため、江戸の祭礼というより、神社の基礎的な知識を問う問題が多くなりました。
神社と祭礼は非常に密接な関係があり、祭礼の勉強をするうえで、神社の基礎的な知識があったほうが理解が深まると考えています。
時間をみつけて、神社の基礎的な知識がわかる本を一冊読むことを江戸検1級を受検する方にお勧めします。
今回の正解は、すべて「神社のおしえ」の中に書かれています。
解説のなかで記載されているページも書きましたので、「神社のおしえ」をお持ちのかたは、確認してください。
1、 ②住居
この問題は、神社建築に関する問題で、説明は136ページに書かれています。
神社建築の様式には、大きく分けて「神明造り」と「大社造り」があります。
しかし、神社建築様式には、その他のものもあり、神田明神は、「権現造り」という様式であると書かれています。
「権現造り」という様式は、本殿と拝殿とを、石の間または相(あい)の間という空間でつないだものです。
江戸検受検にあたって、神社の基本的な知識をもっているほうが望ましいと思って、この問題を出題しました。
建築様式のほか、鳥居の種類なども覚えておくとよいと思います。
2、 ①獅子
狛犬についての出題でしたが、問題文に過ちがあり失礼しました。
狛犬は、ほとんどの神社にある馴染のあるものですが、そのルーツについては、あまり知られていないようです。
「神社のおしえ」138ページに簡単に書かれていますが、狛犬のルーツは遠く古代のオリエントのライオン像だと言われています。
そのライオン像が中国、朝鮮半島を経由して日本に伝えられました。
神社には、狛犬以外の動物も鎮座しています。稲荷神社の狐、天満宮の牛などです。
これらは神使、眷属と呼ばれています。
日枝神社の神使は猿です。
赤坂日枝神社では、拝殿の左右に猿の像があります。(右写真ご参照)
このことも覚えておくとよいと思います。
3、 ②5代綱吉
七五三については、非常によく知られていますが、11月15日になった由来については、意外と知られていないように思います。
「神社のおしえ」76ページには、五代将軍綱吉の子供の徳松の「髪置」のお祝いを11月15日に行ったからと書かれています。
徳松の「髪置」が行われたのは天和元年(1681)11月15日だとされています。
江戸検を受けられ方、過去問題でも七五三は頻出していますので、11月15日になった由来についてはよく覚えておいたほうがよい事項です。
4、 ④家綱 平河天神
この問題は、将軍が産土神として崇敬した神社や特別な関係があって崇敬した神社の知識を問う問題です。
「神社のおしえ」60ページに書かれています。
このページは、江戸検1級を受けられる方は要注意です。
「神社のおしえ」を持っていない方もなんらかの方法で入手して、このページは読んで覚えておくことをお勧めします。
ちなみ、家綱が特別の関係があると「神社のおしえ」で書いているのは、亀戸天神です。
家重は、紀州藩邸で生まれていますので、産土神の赤坂氷川神社を崇敬していました。
綱吉と白山神社との関係については、「白山神社のあった場所に綱吉の御殿が造られたため現在地に遷座したことがきっかけとなった」と書かれています。
それでは、最後に追加問題です。
吉宗と家重意外にも赤坂氷川神社を産土神として崇敬した将軍がいます。その将軍とは誰でしょう?
5、 ②社日
この問題は、「神社のおしえ」を読んでいないと難しいかもしれません。
しかし、「社日」自体は、有名な年中行事ですので、「神社のおしえ」を持っていない方は、事典やインターネットでの検索でもお分かりになると思います。
「神社のおしえ」96ページに書かれていますが、彼岸の中頃、春分・秋分に近い戊(つちのえ)の日を社日といいます。
6、 ③神籬(ひもろぎ)
この問題は結構むずかしかったのではないかと思います。
この問題は、神社に関する問題ですので、江戸検で出題されるかどうかは微妙だとは思います。
しかし、神様が宿るもの(あるいは神様がやってくるもの)の名前について興味をもってもらうために出題しました。
神様が岩に宿る場合には、「磐座(いわくら)」や「岩境(いわさか)」と言います。
山に宿る場合には、「神奈備(かんなび)」と呼ばれます。
木に宿る場合には「御神木」や「神籬(ひもろぎ)」と言います。
「神社のおしえ」では47ページに書いてあります。
7、 正解は8メートルで、選択肢②は8メートルとすべきところ9メートルと書いてあり、選択肢に誤りがありました。簡単なミスでご迷惑をおかけしました。お詫びします。本当にすみません。
正解は、「神社のおしえ」120ページの挿絵のコメントに書いてあります。
今回の江戸検では、天下祭の山車については、最重要事項です。
これについて、勉強して勉強しすぎるということはないと思います。
「江戸の祭礼と歳事」以外の、祭りに関する本で、「天下祭」について書いてあるものは、よく記憶しておいてほうがよいと思います。
そこで、山車の高さはどのくらいか関心をもってもらうために出題しました
8メートルの高さですので、3階のビルほどの高さがあるということになります。
8、 ②建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと).
夏の祭礼としては、天王祭は注意しておくべき祭礼だと思っています。
江戸神社は、神田明神の摂社とされているため、あまり注目されていない神社のように思いますが、江戸時代には、「南伝馬町牛頭天王社」と呼ばれ牛頭天王をお祀りしていた神社で、「小舟町牛頭天王社」と「大伝馬町八雲神社」とともに「江戸の三天王」と呼ばれていました。
すでに、ブログで天王祭とは牛頭天王の祭礼で、牛頭天王はスサノオミコトと習合しているということを書いています。
神社の名前が「牛頭天王社」ですので、御祭神はスサノオノミコトだということは、「神社のおしえ」を読んでなくてもわかった方もいるとは思います。
「神社のおしえ」では、33ページに説明されています。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)という呼び方は日本書紀での呼び名で、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと).は古事記での呼び名です。
江戸神社では、御祭神を建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)と呼んでいることが、「神社のおしえ」33ページに書かれています。
9、 ④事代主神(ことしろぬしのかみ)
神様の名前は大変難しいので、今年の江戸検では、神様に関する問題が出題されないことを期待したいところです。
しかし、神田明神や山王権現の御祭神は絶対覚えておかないといけないでしょう。
神様は多くの名前をもっていますが、なぜ多くの名前をもっているかという疑問に対する解説が、「神社のおしえ」の44ページに書いてあります。
神様が行ったこと・成し遂げたことに対して名前が贈られていることと日本書紀と古事記での表記が違っていることにより多くの名前があると解説されています
神田明神の一ノ宮である大己貴命(おおなむちのみこと)は多くの名前をもっていますが、選択肢としてあげた別名は有名ですので覚えておいたほうがよいでしょう。
①大国主神(おおくにぬしかみ) ②大国魂神(おおくにたまのかみ)
③杵築大神(きづきおおかみ)
なお、選択肢④事代主神(ことしろぬしのかみ)は、大国主神の御子様神で、えびす様として祀られる神様です。
10、①神様をお招きする役割
山車については、前述したように最重要事項です。
山車がどのようなものかということは、「神社のおしえ」の118ページに書いてあります。
そこには「山車は、神様をお招きする『依代(依代)』です」と書いてあります。
「依代」という言葉は、山車を語る時に不可欠の言葉ですので、是非理解しておいてください。