人気ブログランキング | 話題のタグを見る
日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)

 今日は、日枝神社の境内をご案内します。

 

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15394406.jpgまず、表参道でもある山王男坂から登りましょう。

 山王男坂は、右写真の通り非常に急な石段で、53段の石段があります。

一方左側の坂はいくらか緩やかな坂で女坂と呼ばれますが、江戸時代には将軍社参の時だけ使用されたことから御成坂とも呼ばれたそうです。

山王男坂を登りきった先にある門が神門です。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15324332.jpg神道において、祭神を守る者として安置される像のことを「随身」といい「随神」とも書かれます。また、門守神(かどもりのかみ)とも言われます。

神社の門のうち、門の左右に随身像を安置した門は「随身門」と呼ばれます。

日枝神社の現在の神門には随身が祀られています。

神門は、昭和20年の空襲で社殿とともに焼失してしまい、戦後再建されたものです。

戦前の神門の貴重な姿が下の絵葉書と写真です。

この貴重な画像は日枝神社様よりご提供いただきブログへの掲載をご許可いただいたものです。

ご尽力いただいた権禰宜伊久裕之様に紙上にて厚く御礼申し上げます。

 山王男坂の下から見上げた楼門(現在の神門は、戦前は楼門と呼んでいたそうです)

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15330950.jpg

楼門の絵葉書です。楼門と呼ぶのに相応しい風格がある建物ですね。


日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15332960.jpg

 神門の裏側には神猿の像が安置されています。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15343766.jpg 昔から、神猿は日枝神社の御祭神の神使とされています。

日枝神社では、この神猿を「まさる」と呼び『魔が去る』または『勝る』として縁起の良いものとされてきました。

 日枝神社の神使である神猿は鳥帽子をかぶり、御幣をかついでいます。

 社殿の前にも神猿がありますが、社殿前の「まさる」は御幣をもっていません。

 「まさる守」というお守りも授与されています。

 正面にある社殿は昭和33年造営されたものです。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15411769.jpg 戦前までは、万治2年に造営された社殿があり、国宝に指定されていましたが、昭和20年5月の空襲により、末社山王稲荷神社を残し全て焼失してしまいました。

 そこで、しばらくの間は、山王稲荷神社を仮殿としました。

 現在の社殿は鉄筋コンクリート製で、本殿の大きさは焼失前のものと同じ大きさだそうです。


 下の写真も、日枝神社様から掲載を許可いただいた戦前の御社殿の写真です。
 現在は、神門の正面に拝殿が見えますが、戦前は拝殿の前に中門があったことがわかります。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_16531770.jpg




 社殿の北側に、山王稲荷神社があります。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15361010.jpg この山王稲荷は、山王権現が半蔵門外から遷座してくる前に、星岡にあった福知山藩主松平忠房の邸内に祀られていた屋敷神だったと言われています。

この山王稲荷の社殿は万治2年に日枝神社が半蔵門外から遷座した際に、日枝神社の社殿とともに建立されたものと考えられています。

昭和20年の空襲では、日枝神社社殿が焼失してしまいましたが、山王稲荷の社殿だけが被害を免れて残りました。

山王稲荷社本殿は、千代田区によって文化財に指定されています。

山王稲荷神社の前に安置されている狛犬は千代田区の有形民俗文化財に指定されている狛犬です。

日枝神社の境内(日枝神社④ 江戸の祭礼と歳事)_c0187004_15362994.jpgこの狛犬はもともと文政3年(1820)に、神田明神に鎮座していた南伝馬町天王社に奉納されたものです。

しかしその後、明治18年に神田神社周辺で起きた火災により天王社本殿その他が焼失してしまいました。

そのため、南伝馬町の氏子たちが、明治19年に新たに日枝神社境内に鎮守として八坂神社を勧請しました。

それが、現在は山王稲荷神社と並んで鎮座している八坂神社です。
 右上写真で、山王稲荷神社の右手に写っているのが八坂神社です。

八坂神社が勧請された時点では、この狛犬は神田明神境内にあったと考えられていますが、明治34年になって、石製燈籠などその他の南伝馬町天王社に由来する旧来の石造物と一緒に日枝神社境内に移転され、再設置されたと考えられています。






by wheatbaku | 2015-10-15 09:30

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事