今日は、江戸検の今年のお題「江戸の祭礼と歳事」関連の出題問題についてのコメントの2回目です。
【11】6月24日の芝愛宕山の勝軍地蔵(しょうぐんじぞう)の縁日「芝愛宕権現千日参り」で売られ、癩の薬、小児の虫薬として人々が買い求めたという植物は何か?
正解は「酸漿(ほうずき)」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP135をご覧ください。
これは比較的容易だと思いますので初級レベルだと思います。
【12】日本三大曳山祭りのひとつで、「動く陽明門」ともいわれる豪奢な屋台で知られる祭りは何か?
正解は「高山祭」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP165をご覧ください。
これも比較的容易だと思いますので初級レベルだと思います。
【13】東海道島田宿にある大井神社の「島田大祭」に付けられた別名は何か?
正解は「大名行列の大奴が太刀に新婦の帯を掛けて歩くことから『帯祭り』」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP165をご覧ください。
参考図書を読んでいる方には簡単だったと思いますが、「帯まつり」はあまり知られていないお祭りだと思いますので中級レベルとしておきます。
【14】浅草寺の節分会で、本堂の柱の上から撒かれる節分祈祷の守り札の「節分」の「分」の部分を飲むとどんな御利益があるか?
正解は「安産」です。
問題文の中に「東都歳事記に記されている」と書かれていますが、「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP160にも説明されています。
ですから、参考図書を精読している方は正解がわかったと思います。
しかし、浅草寺の本堂で守り札が撒かれることは知っている方は多いと思いますが、その「分」の部分の御利益まで知られていないと思います。
しかも、説明されている部分が行事の一覧表の中ですので、本当に精読していないと難しいと思いますので上級に近い中級レベルだと思います。
【15】〈( )をわざわざ落す節変り〉この川柳は、節分の夜、その年42歳の男性が肌身に着けているものを路上に落として厄落としをする江戸時代の習俗を詠んだものです。( )に入る路上に落とすものは、何でしょう?
これは難しいと思いましたので、問題文を全文書いておきました。
正解は「褌(ふんどし)」です。
これは結構難しかったと思います。
このことについて触れてあるのは「和漢三才図会」です。 東洋文庫「和漢三才図会」では現代語訳されているので理解しやすいと思います。
東洋文庫「和漢三才図会」(1)のP377に現代語訳されて次のように書かれています。
「男、42を大厄とし、前年を前厄といい、翌年を挑厄(はねやく)といい、前後3年間を忌む。(中略)、一般に厄に当たる前年の節分の夜、追儺の炒り豆を年の数だけ数え、それに銭を添えて棄てる。あるいは古い犢鼻褌(ふんどし)をとって街路に捨てれば祟りがないという。」
東洋文庫「和漢三才図会」は多くの図書館が所蔵していますので、図書館で借りてご確認ください。
なお、以前、参考図書として紹介した「江戸の庶民生活・行事事典」のP241にも載っています。
これは上級レベルでしょう。
【16】次の勧進相撲についての記述のうち、間違っているのはどれか?
い)寺社奉行の許可を得て行なわれた
ろ)女性は本場所を見ることができなかった
は)人気力士の多くは、大名に抱えられていた
に)屋外で行なわれたため、雨天が続くと打ち切りになった
これは間違っている選択肢を指摘する問題でしたので、選択肢をすべてあげておきました。
正解は「屋外で行なわれたため、雨天が続くと打ち切りになった」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP65~68をご覧ください。
これは比較的容易だと思いますので、初級レベルだと思います。
【17】亀戸天神境内にある妙義社(現・御嶽神社)の初卯詣で、〈十二文串髪へ挿す初卯の日〉と川柳にも詠まれた、男性が髪に挿しているものは何か?
☆挿絵の「歌川広重『江戸自慢三十六景 亀井戸初卯詣』は略します。
正解は「妙義社で受けた厄除けの神符」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP151をご覧ください。
参考図書を精読している方には簡単だったと思います.
しかし、初卯詣で自体あまり知られていないことで、しかも、説明されている部分が参考図書の行事の一覧表の中ですので、参考図書を精読していないと難しいと思いますので上級に近い中級レベルとします。
【18】成田山新勝寺不動尊の出開帳で11回宿寺となった寺はどこか?
正解は「深川永代寺」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP58をご覧ください。
これは多くの方が知っていることだと思います。初級レベルですね。
【19】大工など建築関係の職人が信仰した守護神は、何か?
正解は「法隆寺をつくり、寺社建立の祖とされた『聖徳太子』」です。
博覧強記P180に書かれています。しかも過去に出題されたこともある問題です。
これも初級レベルでしょう。
【20】歯痛に霊験があるとされ、願掛けに綿を奉納したことから「綿のおばば」とも呼ばれた、嘉永2年(1849)に人気だった流行神はどれか?
正解は「内藤新宿正受院の『奪衣婆』」です。
「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」のP96~97をご覧ください。
これは「江戸博覧強記」P205に書かれていることですので、初級レベルといいたいところですが、ちょっと難しいので中級レベルとしておきます。
以上、コメントをしましたが、今回は超難問という問題は少なかったように思います。
今年のお題関連の問題は、参考図書「祭りだわっしょい!江戸の祭礼と歳事」と「江戸博覧強記」から出題された問題が15題出題されていますので、参考図書と「江戸博覧強記」をしっかりと精読していた方はかなりの点数が取れたのではないでしょうか。(正解の少なかった方には申訳ありません!)
参考図書の精読が大切だということを再確認させられました。