最近出版された中公新書に「江戸の災害史」という本があります。
今年の江戸検のお題が「天下大変~江戸の災害と復興~」なので、早速購入して読んでみました。
この本を読んで気が付いたことが「年号の改元が災害の発生を理由にしばしば行われている」ということでした。
そういえば、明暦の大火が発生した翌年すなわち明暦4年には改元が行われ「万治」となっています。
また、目黒行人坂の大火が発生した年すなわち明和9年に改元が行われ「安永」と改元されています。
そこで、江戸時代の年号の改元理由はなにかと興味をもち調べてみました。
今日からは、何回かにわけて、年号の改元について書いていこうと思います。
なお、私は「年号」と書いていますが、「元号」と呼ぶ人もいます。
法律には「元号法」という法律があります。また、「改元」という言葉は「元号を改める」という意味です。
こうしたことから「元号」という呼び方が適切かもしれませんが、このブログでは「年号」と書いていきますので、ご了承ください。
さて、江戸時代の年号は、「慶長」から始まって「慶応」まで次の36の年号が定められました。まず、これが基礎知識となります。
慶長 元和 寛永 正保
慶安 承応 明暦 万治
寛文 延宝 天和 貞享
元禄 宝永 正徳 享保
元文 寛保 延享 寛延
宝暦 明和 安永 天明
寛政 享和 文化 文政
天保 弘化 嘉永 安政
万延 文久 元治 慶応
この年号の改元理由について「見る・読む・調べる 江戸時代年表」(山本博文編 小学館刊) に基づいて調べました。
この本には、改元日と改元の理由が書いてありますので、大変役に立ちました。
そこに書かれている改元理由を
①天皇即位 ②将軍宣下など
③革命 ④災害 と分けました。
調べた結果を書いていくと
①天皇即位 10年号
②将軍宣下など 3年号
③革命 9年号
④災害 13年号 となります。
(☆これを合計すると35になりますが、「見る・読む・調べる 江戸時代年表」には「慶長」の改元理由が書いてありませんでした。)
ご覧いただいてわかるように最も多いのが ④災害 ということになりました。
最も多い理由は①天皇即位だろうと思っていたので、調べた結果は意外なものでした。
また、飛鳥時代や奈良時代には「和銅」「霊亀」などおめでたいことが起きたことをきっかけに改元されていることがありましたが、江戸時代には瑞祥を理由に改元した例がゼロであったということにも驚きました。
改元理由について書いていくとボリュームが多くなるので、数回に分けて書いていきますが、次回は「天皇即位を理由とした改元」について説明します。
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