~山手線一周~ 駅から気ままに江戸散⑤ 五反田駅編
昨日は、毎日文化センターの「~山手線一周~ 駅から気ままに江戸散歩」があり、五反田駅から池田山や東五反田を散歩してきまました。
この散歩は、30駅ある山手線の各駅を出発地点として、駅周辺の江戸史跡を散歩しようという企画で昨年から開始したものですが、今年の春季は事情により中断していたので、久しぶりの開催ということになりました。
昨日は、事前の天気予報では、曇り一時雨ということで、雨に降られるのを覚悟していましたが、結果的に、雨に降られずにすみました。
参加された皆さんの日頃の行いが良かったのではないかと思って、参加者の皆さんに感謝しています。
さて、昨日歩いたコースは次のコースです。
五反田駅 ⇒ 薬師寺東京別院 ⇒ ねむのきの庭 ⇒ 池田山公園 ⇒ 定光寺【福澤諭吉の墓】⇒ 隆崇院【伊東深水の天井絵】 ⇒ 清岸寺【清岸寺の桜】 ⇒ 月窓院【坂東三津五郎の墓】 ⇒ 光取寺【陣幕久五郎の墓】 ⇒ 三田用水の跡 ⇒ 本立寺【柳家金語楼の墓】 ⇒ 清泉女子大学【伊達家下屋敷跡】 ⇒ 五反田駅
五反田周辺には江戸史跡はあまりないという印象が強いのですが、結構あるものです。
この中から今日は主な案内場所をご紹介しておきます。
ねむの木の庭
「ねむの木の庭」は、皇后陛下のご実家旧正田邸の跡地に整備された公園で、平成16年に開園しました。園名は皇后陛下の高校生時代(聖心女子学院高等科)に作られた詩「ねむの木の子守歌」からつけられたものです。
公園中央にはシンボルツリーの「ねむの木」が植えられています。下の写真中央がねむの木です。
ねむの木の庭には、皇后陛下ゆかりの樹木や、お歌の中で詠まれた樹木・草花を多数植えられていて、有名なプリンセス・ミチコも植えられています。
池田山公園
池田山公園は、岡山藩主池田家の下屋敷の一部を利用した公園です。
下屋敷は寛文8(1668)年に造られ、2万7,300坪余という広大な敷地がありました。大崎村にあったことから「大崎屋敷」とも呼ばれ、このあたりは、池田家の下屋敷がある山ということで、いつしか「池田山」と呼ばれるようになりました
明治になってからも、敷地の多くが池田侯爵邸として使用され、昭和初めまで池田家ゆかりの人が住んでいましたが、その後、住宅分譲地として売り出され、「池田山」は都内有数の高級住宅地となっています。
現在、池田山公園となっている場所は、下屋敷の奥庭だったといわれ、品川区が購入し、昭和60年に公園として開園しました。
もう少しすると紅葉が大変きれいになると思われます。
常光寺
定光寺は元和元年(1615)に創建され、明治43年に現在地に移転しました。
現在、福澤諭吉のお墓は麻布山善福寺にありますが、昭和52年までは定光寺にありました。
福澤諭吉は、朝の散歩を日課にしていましたが、その時に、周囲が閑静で眺望が良いのを気に入ってこの地を自分の墓地として選んでいたといいます。
福澤諭吉が亡くなったのは、明治34年の2月3日でした。そして、2月8日、福澤諭吉の柩は、三田の自宅から菩提寺の善福寺に運ばれ、そこで葬儀が行われ、葬儀が終えると、柩と葬送は再び出発し現在の定光寺の墓地に埋葬されました。
福澤諭吉のお墓の跡に「福澤諭吉先生永眠之地記念碑」が建てられています。
隆崇院
隆崇院は、3代将軍家光の次男で甲府宰相とよばれた徳川綱重の正室が亡くなった後、追善供養のため、寛文9年(1669)に増上寺山内の山下谷に創建されたお寺で、隆崇院というお寺の名前は、綱重の奥方の院号です。
隆崇院の本堂(上写真)は昭和37年に造られ、その天井に日本画の巨匠伊東深水、子息万耀、および一門の画家によって描かれた鮮やかな彩色の花の絵があります。
天井の中央に深水の「牡丹唐獅子図」(下写真)が描かれていて、その周囲に大小各20面の花の絵を配置されています。
この絵は、伊東深水の奥様の7回忌の追善供養のため作成されたもので、昭和42年に完成しました。
清岸寺
清岸寺は、この付近の寺では、唯一戦災を免れたお寺です。そのため、江戸時代に造られた本堂と山門が残されています。下写真の本堂は天保12年(1841)建立されたものです。
山門脇の桜は、芝増上寺36世の祐天上人(1637~1718)のお手植えと伝えられる桜で、推定の樹齢は250年~300年というサクラとしては23区内で最古と言われる古木です。(下写真)
祐天上人(1637-1718)は、目黒区祐天寺の地名や駅名ともなっている江戸時代中期の増上寺の名僧です。
この後、月窓寺で、歌舞伎役者の坂東三津五郎のお墓参り、光取寺で、江戸時代最後の横綱で、深川の富岡八幡宮の横綱力士碑を建てた陣幕久五郎のお墓参りをし、本立寺では落語家の柳家金語楼のお墓を参りしました。
さらに、白金では、三田用水路の貴重な遺構を見て、清泉女子大学では、仙台藩下屋敷と島津侯爵邸の説明をして、無事、雨に降られずに終了となりました。