
まず、感じるのは、赤穂義士の苦労も大変であったが、その家族の苦労も大変であったということである。赤穂義士の話・小説の多くは、赤穂義士の英雄談として描かれることが多いが、この小説では義士の妻子の苦悩・悲しみがよくわかる。
りくの苦悩が中心であるが、大三郎にしても、偉大な父の前に押しつぶされてしまっており、「自分で望んで内蔵助の子に生まれてきたわけではない」と叫ばさせている。忠義の士の子といわれた子供の苦悩も描かれている。
内蔵助の妻のりくでさえ、この小説のごとく、苦労しているのであれば、討ち入りした義士の妻子の苦労はいかばかりかと思う。まして、途中で脱落した藩士やその家族は、世間から逃れてひっそりとくらしたのではないかと予想させられる内容であり、赤穂事件の違う面をみる思いがした。
また、赤穂事件について女性の側からの見方が書かれていて興味深い。
いくつか例を挙げると
①浅野内匠頭が饗応費用を惜しまなければ切腹はなかっただろうと思う場面。
②公弁法親王が切腹がよかったといったと聞いて、出家の方が死がよかったとはあまりに非情だと憎く思った場面。
なるほどと考えさせられた。

