人気ブログランキング | 話題のタグを見る
変化朝顔 (朝顔③  江戸の花)
 江戸の朝顔ブームの第2回目は嘉永・安政期(1848年から1860年)です。 
 このブームを支えた人の代表が、成田屋留次郎鍋島直孝です。

変化朝顔 (朝顔③  江戸の花)_c0187004_19302295.jpg この時期も、朝顔の中心は入谷です。その入谷朝顔界の重鎮が成田屋留次郎です。
成田屋留次郎は、本名は山崎留次郎。8代目団十郎の大ファンだったので、成田屋を名乗ったと言われています。
 成田屋留次郎は、浅草の植木屋の次男として生まれ、その後、入谷に住み、植木屋を本業として、朝顔栽培に趣味として取り組んでいたといいます。そして、明治24年に81歳でなくなりました。

 成田屋留次郎は、朝顔の栽培に熱心に取り組んだため、いろいろなエピソードがあります。
 当時、入谷には、大坂のような奇品が多くはなかったので、大阪へ行き珍花を集めたというエピソードや引き出し付きの箱に寒天を流しこみ、珍花奇葉を入れこれを見本として客に売り歩いたというエピソードもあるそうです。

  「団十郎」 という花があります。上の写真が「団十郎」ですが、花の色が団十郎が好んだ団十郎茶に近いことから、この名が付けられました。この花は成田屋留次郎が売り出していた花だった言われています。そして、現在でも茶色の花は「団十郎」と呼ばれることが多く、人気が高いそうです。

 嘉永・安政期ブームのもう一人の中心人物が、北町奉行をつとめた鍋島直孝です。号は 「杏葉館(きょうようかん)」 と言います。
 鍋島直孝は、佐賀藩9代藩主・鍋島斉直の五男として生まれました。佐賀藩の幕末の名君と言われる鍋島閑叟(直正)の兄にあたります。 
変化朝顔 (朝顔③  江戸の花)_c0187004_19175376.jpg 鍋島直孝は、旗本の大身で五千石を領し、有名な『遠山の金さん』こと遠山景元の2代後に、北町奉行となっています。 
 なお、佐賀藩の大名の子直孝がなぜ、旗本かと言いいますと、直孝は佐賀藩の支藩である佐賀鹿島藩の分家である旗本の鍋島家を継いだからです。

 この鍋島直孝が、朝顔栽培で名を成し、 「朝顔三十六花撰」 という本の序文を書いています。
 「朝顔三十六花撰」は、和歌の三十六歌仙にちなんで書名としたもので、江戸期の最高の珍花奇葉を集めたものです。

 江戸の変化朝顔の中で最も変わっているものと言われるのが、「朝顔三十六花撰」に取り上げられている右の朝顔です。
 極紅色の花の中心部からつるが出て、そこに葉とつぼみがあります。外側の花が咲き終わった後、これらのつぼみがふくらんで花が咲くという、びっくりする花が載せられています。

 「朝顔三十六花撰」には、鍋島直孝が栽培したものも2つ取り上げられています。 
 その2つの朝顔を下に載せましたが、図譜の右下と左下に「杏葉館」と書かれているのがわかりますでしょうか。
 それにしても、これらも私たちが普通考える朝顔とは全く違う変わり咲きの朝顔ですね。

変化朝顔 (朝顔③  江戸の花)_c0187004_9411496.jpg変化朝顔 (朝顔③  江戸の花)_c0187004_1003891.jpg 



 今回も、九州大学の「アサガオホームページ」さんから写真をご提供いただきました。
  「アサガオホームページ」さんは内容がすごく充実していて大変参考になります。ありがとうございました。
 
by wheatbaku | 2009-07-06 00:38 | 江戸の花と木

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事