人気ブログランキング | 話題のタグを見る
早ずし (すし③ 江戸の味)
 すしの話の3回目は、早ずし です。
早ずし (すし③ 江戸の味)_c0187004_12352451.jpg
 すしはもともと自然発酵による保存食です。
 早いもので1カ月、長い場合には3年かかるものもあります。
 やがて、人々は、長く待つことより早く食べたいと考えるようになってきました。
 そのため、江戸時代に入り、「酢」に出会って、自然発酵を待たずに、発酵を促進するために、飯に酢を混ぜてつくる 「早ずし」 が生まれます。
 また、ご飯は最初は発酵を助けるためだけでしたが、江戸時代になると、ご飯そのものもおいしく食べる 「早ずし」 へと変わっていきました。

  早ずしの中に分類されるすしは、現在、全国各地にいろいろあります。
  そのうち代表的な押しずし・包みずし・姿ずしを取り上げます。

鱒寿司 (押しずし)   
 早ずし (すし③ 江戸の味)_c0187004_12332086.jpg押しずしは、飯と具を重ね、一定時間、力をかけて押したものです。
 駅弁としても知られている「鱒寿司(ますずし)」は、富山県の郷土料理です。
 鱒を使って、発酵させずに酢で味付けした押し寿司(早ずし)の一種です。
 木製の曲物(わっぱ)の底に放射上に笹を敷き、塩漬け後に味付けをした鱒の切り身をその上に並べ、そこに酢めしを押しながら詰め、笹を折り曲げて包み込み、その上から重石をしたものです。
 享保年間に富山藩第3代藩主前田利興の家臣が8代将軍徳川吉宗に鮎寿司を献上したときの製法が、現在の鱒寿司と同じ早ずしであったことが記載されていて、この時に吉宗の絶賛を受けたとする逸話が現在の鱒寿司の起源として語られているそうです。


柿の葉ずし (包みずし) 
 包みずしは、木の葉や笹の葉などで包んで保存性と美的付加価値を高めたすしです。
 先日紹介した「笹巻けぬきすし」も包みずしです。
 地方の包みずしで有名なものは、「柿の葉ずし」です。
 柿の葉すしも江戸時代に生まれました。和歌山県や奈良県の名産品として全国的に有名です。
 保存用に塩でしめた鯖の切り身をご飯に添え、柿の葉で包んで一晩置いたところから、柿の葉ずしは生まれたとされています。
 江戸時代中期に、夏祭り用のご馳走として振る舞われるようになったそうです。

柿の葉寿司
柿の葉寿司 posted by (C)テツさん

さばずし(棒ずし)   (姿ずし)  
 姿ずしは、魚の頭や尾は残し、背開きや腹開きにして、魚で飯を包み込むようにしてつくられるすしです。
 まず、背開きや腹開きにした魚に塩をあて、塩をよくなじませて洗います。
 次に酢につけてから水分をよくとり、頭から尻尾まで酢飯をよく詰め、笹などを敷いた箱に並べて重石をします。
 こうして作られるさばずしは秋祭りに食べる地域が多いようです。
 京都や大阪では、さばずしは、三枚におろした身を塩と酢でしめ、棒状に伸ばした飯をのせて押し圧をかけてつくります。
 そのため、京都や大阪では、さばずしは、「棒ずし」と呼ばれます。 
 「棒ずし」が、ご飯を棒状にするのは、魚の姿をできる限り生かそうという工夫から行われており、「姿ずし」の名残りとも考えられています。
早ずし (すし③ 江戸の味)_c0187004_9505449.jpg




 7月11日の日経プラスワンに「夏におすすめ取り寄せずし」というランキング記事がありました。
 この中で、第1位は「鯖街道 花折の『京、鯖寿し』」で、5位、6位、8位にもさばずしが入っていました。
 さばずしは、非常に人気のある商品なんですね。

by wheatbaku | 2009-07-14 05:36 | 江戸の味

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事