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なれずし(すし② 江戸の食文化52)
 すしの2回目は、「すし」の原形と言われる 「なれずし」 についてのご案内です。
 なれずし(すし② 江戸の食文化52)_c0187004_1892480.jpg 「なれずし」 
 すしの起源は、紀元前4世紀頃の東南アジアにさかのぼります。
 タンパク質をおぎなうため、飯の中に塩味をつけた魚を漬けて発酵させた魚肉保存法だとされています。
 これは、内臓を処理した魚を米飯に漬け、米飯の乳酸発酵によって魚の保存性を高めた食べ物でした。
 このすしを「なれずし」と呼びます。
「なれずし」は漢字では「熟鮨」や「馴れずし」と書かれます。
「江戸の食文化」では、「熟鮨」を使用しています。
「なれずし」では、食べるのは魚だけ、米は捨てられてしまいます。

鮒寿司
 なれずしの 姿を今も残しているものが、琵琶湖周辺でつくられている鮒寿司です。
 鮒寿司(ふなずし)は、フナを用いて作られるなれずしの一種で、滋賀県の郷土料理です。
主に琵琶湖の固有種であるニゴロブナが使用されます。
 オスメスともに使われますが、子持ちのメスのものが高価です。

 春の4月頃、ニゴロブナの内臓を除き、たっぷり塩を詰めたものを多数桶に詰め、重しを乗て塩漬けにします。.夏場まで3ヶ月ほど塩漬けにした後、土用の頃、フナを取り出して水で良く洗い、さらに水に浸けて塩抜きをします。
なれずし(すし② 江戸の食文化52)_c0187004_8402649.jpg 次に塩を混ぜた飯をフナの身の中に詰めます。桶の中にフナだけでなく飯も交互に敷き詰め、フナは身の内と外から飯に囲まれた状態で敷き詰められます。
 落とし蓋の上から重しがかけられ、念入りにする場合には、落としぶたの上に水を張って外気を遮断します。
 こうして、桶を涼しいところにおいて、鮒と飯を発酵させます。
 早くても年末頃、長ければ1年から、人によっては2年程度保管する場合もあります。
 桶内のフナは乳酸発酵によって腐敗が防止され、アミノ酸などのうま味成分が増す。
 こうしてできるのが鮒寿司です。
現在の鮒寿司は、土用に漬け込んでいますが、江戸時代には「寒の内」に漬け込んでいたようです。

 この鮒寿司は最近では、通販で取り寄せることができます。
 5月に取り寄せて味わってみましたが、ふなずしは、いわゆる「握りずし」と違っていることは一目瞭然です。
 また、味わってみれば、これまたまったく違ったものです。
 まさに魚の保存食であり、ご飯は非常に酸っぱくて、ご飯を食べるのはちょっと無理があります。
 しかし、鮒は、ほどよい酸っぱさがあり大変おいしく乙なものでした。
酒の肴として最適だと思います。

by wheatbaku | 2014-06-25 07:48 | 江戸の食文化

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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