蓮の音
蓮の花が咲く時に音がすると良く言われます。
正岡子規も次のように詠んでいます。
蓮開く 音聞く人か 朝まだき
しかし、本当に音がするかどうか、過去に議論になったようです。
昭和10年には、「観蓮節」を復活させようと集まった蓮博士大賀一郎、植物学者牧野富太郎、生物学者の三宅驥一たちが、不忍池で弁天堂前の石橋付近で実地検証した結果、「蓮の開花には発音は伴わない」としたそうです。しかし、その後、『朝日新聞』紙上では論議が起きたようです。
今は、「花が咲くときに音がしない」または「音を聞いたことがない」というのが有力のようです。
日本に蓮文化研究会のホームページを見ると、「音はしません」と書いてあります。
しかし、日本人は、蓮の花が咲く時に音がするとしたいという雰囲気もあるようで、「虫の音の違いを聞き分け、風の音にも季節を感じてきた文化があります。『蓮の音』の真偽と騒動は、こうした情緒を背景にして、考えることもできます。」とも書いてあります。
蓮の香り
蓮の花が香りは多くの和歌や俳句に詠まれたり、小説に書かれています。
「不忍池の蓮」で紹介した「江戸名所図会」には「その芬芳(ふんぽう よい香り)遠近の人の袂(たもと)を襲ふ」と書かれています。
また、「江戸名所花暦」にも「東雲(しののめ)のころは、匂ひことにかんばしく」と佳い香りのことが書かれています。松尾芭蕉は、
蓮の香に 目をかよはすや
面(めん)の鼻
という句があります。
与謝野蕪村には
蓮の香や 水をはなるる
茎2丁 という句があります。
また、芥川龍之介の短編「蜘蛛の糸」の書き出しは、次のようです。
或日のことでございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶらお歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のやうにまつ白で、その真ん中にある金色の蕋(ずい)からは、なんとも言へない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居りました。
このように、多くの文学作品に、蓮の花から、好い匂いが出ることが書かれています。
蓮の花香りは、主におしべから出ているそうです。
そして、開花2日目の花が最も強い香りを発し、3日目にはほとんど匂わなくなるそうです。
今度、蓮の花を見にいった時には、香りをよく嗅いでみたいと思います。

