人気ブログランキング | 話題のタグを見る
三椏紙(みつまたがみ) (江戸の技)
 和紙の原料の最後は、  「三椏(みつまた)」 です。

三椏紙(みつまたがみ)   (江戸の技)_c0187004_2112456.jpg 三椏(みつまた)は、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木です。
 みつまたは、その枝が必ず三叉、すなわち三つに分岐する特徴があるため、この名があり、三枝、三又とも書きます。
 成木は2メートル余りになり、苗を植えてから3年目に収穫できます。葉はだ円型で互い違いの向きにはえます。


 春の訪れを、待ちかねたように咲く花の一つが三椏です。

三椏紙(みつまたがみ)   (江戸の技)_c0187004_169586.jpg 花は初秋から樹木の先につぼみをつけ、翌年2~3月頃外側から内側に向け順番に開花し、花びらは黄色で4枚に分かれ、一つの花に8本の雄蕊、1本のめしべがあり6月頃実を結びます。
 春を告げるように一足先に、淡い黄色の花を一斉に開くので、三椏のことをサキサクと万葉歌人は呼びました。

 
 三椏は雁皮と違って栽培が可能なので、大蔵永常は「広益国産考」(1844年刊)で各地の栽培例を紹介しています。
 しかし、当時は三椏の特色はあまり知られておらず、「三椏紙」という紙名は登場していません。
 三椏が一般的に重要な製紙原料となったのは、明治の初年に印刷局が初めて使用した頃からです。
三椏紙(みつまたがみ)   (江戸の技)_c0187004_1684493.jpg 明治11年パリで開かれた万国博に大蔵省印刷局が出品したミツマタ製厚紙は「局紙」と名付けられて、欧米でも高く評価されました。
 それを受けて、三椏の栽培を奨励しました。
 重要な原料としての需要が増大するに伴って、栽培が次第に中国、四国地方に広がっていきました。
 今日では岡山県の生産量が第一位で、その他、高知県、徳島県、鳥取県、愛媛県などで生産されています。

 繊維は柔軟で細くて光沢があり、印刷適性に優れていて、世界一の品質を誇る日本銀行券の原料として使用されています。
 この他、箔合紙、かな用書道用紙、美術工芸紙などに使用されています。
by wheatbaku | 2009-08-12 06:09 | 江戸の技

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事