柿が大好きであった正岡子規の短歌です。
柿には「甘柿」と「渋柿」がありますが、これらの違いは渋味成分「タンニン」が口の中で溶けるかどうかできまります。溶けると渋くなり、溶けなければ甘くなります。
【渋柿はなぜ渋い】
まだ柿の実が小さいうちは、全ての柿に渋があります。
ところが甘柿の場合は、果実が大きくなるにつれてタネが育ったり渋が変化したりして、食べたときに渋味を感じなくなります。
甘柿は渋柿の突然変異種と考えられており、日本特産の品種です。
これに対して渋柿は、収穫期になっても渋が残り、そのまま食べると渋く感じます。
渋味の原因は、正確には、シブオール(タンニンの一種)です。このシブオールが消えるか、あるいは水溶性から不溶性(唾液にとけない形)になると渋くなくなります。
不溶性になって固まったのが、俗にいうゴマ(褐斑)です。ゴマが入っていれば渋が抜けた甘い柿であるといえます。
【渋抜き法】 可溶性のタンニンを、人工的にすべて不溶性タンニンに変化させれば、渋味を感じなくなり、おいしく食べられるようになります。
渋を取り去る人工脱渋法には湯抜き法・アルコール法・炭酸ガス法・干し柿法などがあります。
【湯抜き法】
「湯抜き法」は江戸時代の初めから行われている方法です。 40℃ぐらいのお湯に半日~1日程度つけておくと渋が抜けます。
【アルコール法】
「アルコール法」という方法もあります。
江戸時代末に考えられた方法で、酒が空になったばかりの酒樽に渋柿を詰めてておいたところ偶然に渋が抜けていたところから始まったとされています。そのため「樽ぬき法」とも呼ばれていました。
焼酎をヘタの部分に塗ってからビニール袋に入れ(あるいは布や新聞紙に焼酎を含ませて一緒に入れる)、中の空気を追い出すようにしてビニールの口を縛ります。そのまま4~5日置いておくと渋が抜けます。
【炭酸ガス法】 市場に流通する柿で最も一般的な渋抜きの方法は、「炭酸ガス脱渋法」です。
大きな産地では脱渋室の中にコンテナに入れた柿を入れ、炭酸ガスを注入します。そのまま1日ほど置いてから脱渋室から出し、2~3日ほど置いておくと渋が抜けます。
【干し柿法】 干し柿にすると、渋みは自然に抜けます。
干し柿については、「正倉院文書」の天平宝字年間のものには、「干柿子」を購入した記録があるそうです。 また、10世紀はじめの「延喜式」の中では、祭礼の折に使う菓子類の中に熟柿と一緒に「干柿子」が挙げられているそうです。
従って、奈良時代の昔から干し柿が食用として利用されていたことになります。

