人気ブログランキング | 話題のタグを見る
町火消と消防博物館(江戸検お題「徳川将軍15代」)
 今日は、大岡越前守忠相の業績の一つ町火消について書いていきます。
 町火消制度は、享保3年(1718)に創設されました。

 江戸は非常の火事の多い町でした。
町火消と消防博物館(江戸検お題「徳川将軍15代」)_c0187004_10574299.jpg そこで、幕府は火消制度については常に留意していました。
 しかしながら、江戸時代前半は、江戸城を火から守るという目的が優先したため武士による武家火消中心の組織でした。
 武家火消には、大名火消と定火消がありました。
 大名火消には、寛永寺・増上寺・湯島聖堂、浅草御蔵・猿江町竹蔵など幕府にとって重要な場所の消防を担当させた所々火消、江戸の町を方角などで地域割りして消防を担当させた方角火消がありました。
 さらに、明暦の大火後は、旗本による定火消が創設されました。この定火消は、火消屋敷に火消人足を常駐させ、常時、防火消火にあたらせました。
 10組だった期間が長いため、俗に「十人火消」とも呼ばれました。

 これらの大名火消と定火消は、武家屋敷中心の消火活動を行ったため、どうしても町屋の消火は手薄になりました。
 そこで、町人により町の火消を担当する町火消が、大岡越前守忠相により、享保3年(1718)に創設されました。
町火消と消防博物館(江戸検お題「徳川将軍15代」)_c0187004_10415822.jpg  そして、享保5年(1720)に、隅田川から西を担当する「いろは四十八組」、東側の本所深川を担当する16組の町火消が設けられました。
 「いろは四十八組」は、隅田川を境とした西側の区域に組織されたものですが、「へ」「ら」「ひ」「ん」の四文字組は「百」「千」「万」「本」に変えられました。
 「へ」は屁に、「ひ」は火に通じ、「ら」は隠語、「ん」は語呂が悪いためです。

 各組には、組を象徴する纏(まとい)が作られました。これは、戦国時代の馬印に由来があるそうです。
 写真は、「い組」の纏で、上部の球が芥子(けし)を意味し、下部の立方体が升を意味して、二つで「消します」となります。これは大岡越前守が命名したと言われています。

 享保15年(1730)には、いろは四十八組を一番組から十番組まで10の大組にまとめて、より多くの火消人足を火事場に集められるように改編しました。

 東京メトロ丸の内線の「四谷三丁目」駅の上に「消防博物館」があります。(右最上段写真)
 この中では、江戸時代の消火について展示されていて、非常におもしろい博物館です。
町火消と消防博物館(江戸検お題「徳川将軍15代」)_c0187004_10431052.jpg 江戸時代中期には竜吐水(りゅうどすい)と呼ばれた手押ポンプが考案されましたが、水を大量に放水することが不可能で、効果は限定的なものでした。(右写真)

 江戸は水が豊富でなかったため、江戸時代通じて、消火方法は、火事場周辺の建物を破壊して、延焼を防ぐ破壊消防という方法でした。
 そのため、最初のうちは商家の店員などで組織されていた町火消ですが、次第に建物に詳しい鳶職人中心の組織となりました。
 
 下の写真が、町火消が使った消火道具が展示されているコーナーの写真ですが、写真上部にある長い棒が「大刺股」です。これで家屋を押し倒して延焼するのを防ぎました。
 このように、消火のための道具も、建物を壊す道具が中心でした。
町火消と消防博物館(江戸検お題「徳川将軍15代」)_c0187004_10423080.jpg

by wheatbaku | 2012-09-20 10:29 | 江戸検お題「徳川将軍15代」

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
以前の記事
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事