大晦日の様子が「絵本風俗往来」に生き生きと書かれています。
「絵本風俗往来」は四代目広重を名乗った菊池貴一郎が江戸の町の季節の移り変わりや町家・武家の 行事について書き記したものです。

市中の町家・商店は、皆新調の染暖簾をかけ、しめ飾り・門松を立てて、賑やかに店を飾り、朝より商い忙しく日暮れに及ぶや高張大提灯の定紋の正面へ何屋としるしたるを店へつり、正面の神棚は供餅を上げ、燈火数多く輝き、その下には鏡餅・海老・橙を飾り付けて据えたり。
小売り・大店の「酒・乾物・茶・漆器・紙商の如きは、皆数日前より荷箱を造り、軒より高く積み上げて幾数点の弓張提燈をつけたるが、今宵はいやが上にも荷を積み上げて提燈の数多く、出入りお鳶の者・下職たち革羽織・染祥纏にて、立番とて客の出入りに心つけたり。
往来には露店諸商左右につらなり、飲食の露店種々あるは今宵特に多しとす。
また植木屋の店をつらねて、梅・南天・福寿草の鉢造りを陳(つら)ねたる。
往来の人は何れも弓張提燈を携え、夜明くるまで通行途絶えることなく、この中には獅子舞の遠音、神楽・厄払いの声また遠近に聞こゆ。
夜更けるに随い、少しは熱聞の勢いも減ずる時分、始めて寺院にて衝きだす百八の梵鐘響きたり。
江戸の大晦日の賑やかさが生き生きと書かれています。現代の大晦日よりずっと季節感があるように思います。
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