高野山東京別院と高輪消防署二本榎出張所をご案内します。
高野山東京別院は高輪警察署前交差点の南東にあり、二本榎出張所は高輪警察署交差点脇にあります。
【高野山東京別院】
高野山真言宗総本山金剛峯寺の別院です。
慶長年間江戸に徳川幕府が開かれた際、在番所の寺として、浅草の日輪寺に開創されました。
その後、明暦元年(1655)芝二本榎の地を下賜され、延宝元年、「高野山江戸在番所高野寺」として正式に建立されました
幕府と宗務全般の交渉、および幕府の諸通達を全国の古儀真言宗寺院に達する触頭(ふれがしら)の責務を担いました。
高野山から重役方が交代で勤務しました。
明治に入って在番所は廃止され、 昭和2年に「高野山東京別院」と改称しました。
住職は、総本山金剛峯寺座主が兼務しています。
【高輪消防署二本榎出張所】
高輪消防署の二本榎出張所は、もとは、昭和59年に桜田通り沿いに新本署ができるまで高輪消防署でした。
この高輪消防署二本榎出張所は、平成22年に「東京都選定歴史的建造物」に選定されました。
二本榎出張所は、昭和8年に建てられました。設計は、 警視庁の営繕係の越智操が行い、施工は間組が担当しました。
当時は、消防署は、警視庁の管轄下にあったので、警視庁の営繕係で設計をしたそうです。
鉄筋コンクリート造、地上3階建て、延べ598㎡の建物です。
出張所は海抜25メートルの位置にあり、新築当時は周囲に高い建物がなく、東京湾を眼下に眺望できたことから、「岸壁上の灯台」とか「海原を行く軍艦」と評されていました。
3階の講堂まで見学できます。1階の受付で名前を記入する簡単な手続きですみます。
3階の円形講堂
3階の円形講堂は、8本の梁が中心に集まり、10個の窓部アーチと一体となった独特の意匠です。
第一次世界大戦後の「ドイツ表現主義」というデザインで、曲線と曲面をモチーフとして力強く流れる躍動感のある設計が特徴です。
非常用ガス燈(円形講堂内)
現在の庁舎が落成した時に停電用の照明として「アールヌーボー風のガス燈」が円形講堂に設置され、現在も当時のまま保存されています。
曲線をモチーフとした階段
円形講堂にあがる階段は、曲線的な空間を持った階段となっています。
階段の床と腰壁は大理石とセメントを練って固めたものを研磨した、研ぎ出し仕上げとなっています。
赤印が高野山東京別院です。 青印が高輪消防署二本榎出張所です。