京都守護職(八重の桜 第6回「会津の決意」)
 「八重の桜」は、いよいよ会津藩の運命を大きく左右することになった京都守護職に容保が就任することになりました。

 京都守護職は、無法化した京都の治安を維持するための組織です。
 そこで、最も期待されたものは、武力です。
 ですから、京都守職に任命される藩は限られてきます。

 朝廷側が、京都の治安維持のために当初期待したのは島津久光だったようです。
c0187004_0241696.jpg しかし、島津久光は、江戸から京都に戻り、公武合体運動がいまく進まない情勢を見限って薩摩に帰ってしましました。
 また、幕府から見れば、外様の薩摩藩に幕府の要職を任せるわけにはいきません。

 本来、京都守護の任務を負っていたのは彦根藩でした。
 しかし、彦根藩は、井伊大老が京都で安政の大獄を引き起こしましたし、また、その責任を追及されて、10万石減封されたばかりでした。このため、彦根藩は不適当でした。
 そして、京都守護職の候補と考えられたのが越前藩と会津藩です。両藩とも家門で将軍家に非常に近い藩で、かつ大藩でした。
 しかし、その中の越前藩は、藩主の松平春嶽が政治総裁職につくことになりました。
 そこで、残る候補は会津藩ということになります。

 松平容保に就任させるため、松平春嶽も必至だったようです。しかし、松平容保、会津藩重役も固辞し続けました。
 しかし、どうしても致し方なくなり、最後には必死の覚悟をもって引き受けたようです。
 これは、「八重の桜」で描かれていた通りです。

 この間の京都守護職就任の事情は、山川浩の「京都守護職始末」に書かれています。
c0187004_0244882.jpg 
 山川浩は、「八重の桜」で、八重の幼馴染として出てくる山川大蔵(与七郎)です。
 玉山鉄二さんが好演しています。
 先週、彼岸獅子が出てきましたが、会津篭城戦では、山川浩は、薩長軍の包囲網の中を彼岸獅子を踊りながら突破し鶴ヶ城に入城という離れ業を演じています。
 明治になってからは、陸軍に入り西南戦争で活躍した後、教育界で活躍しました。

 その山川が書いた「京都守護職始末」では、
守護職就任は、何度も断ったが、松平春嶽はあきらめず何度も説得してきました。
 「慶永朝臣(春嶽のこと)らはきかず、あるいは書をよせ、あるいは重臣を招くなど頻繁な勧誘日夜たえずといったありさまであった」と書いています。
 そして、松平春嶽が書いてよこした手紙がのせてあります。
 「台徳院様(秀忠公の諡)の御血脈の公方様、土津様御末胤の貴兄に候えば、御情においては御同様と存じ奉り候。徳川氏の信不信の相立ち、公武御合体の有無は貴兄の受の断、不断にあり。小生泣いて申し上げ候も、方今台徳院様、土津公あらせられ候わば、必ず御受けに相成り申すべくと存じ奉り候。末世に候えども御同情と存じ奉り候。以上」

 そして、こうした春嶽の説得により、容保が就任を了解しようと決心したとき、国許から家老の西郷頼母と田中土佐が急いで上京し、次のように言って諌止しました。
 「いまこの至難の局にあたるに、まるで薪を負って火を救うようなものでおそらく労多くしてその功がないだろう」
 これに対して容保は、
 「そもそも藩祖公の遺訓がある。そのうえ数代隆恩に浴していることを、余不肖といえども一日も報数を忘れたことはない。ただ不才のため万一の過失から宗家に累を及ばしはせないかと、そのことを怖れただけのことである。他の批判で進退を決するようなことはないが、いやしくも安きをむさぼるとあっては決心するよりほかはあるまし。しかし、このような重任を拝するとなれば、我ら君臣の心が一致しなければその効果はみられないだろう」とその覚悟を述べたため、
 これを聞き、横山主税はじめ重役は感激し、
 「この上は義の重きにつくばかりで、他日のことなどとやかく論ずべきではない。君臣もろともに京師の地を死に場所にしょうと、ついに議は決した。」
 と書かれています。


 最上段右の写真は、和田倉噴水公園です。ここに江戸時代には会津藩中屋敷がありました。
 その南が会津藩の上屋敷でした。
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by wheatbaku | 2013-02-11 08:56 | 大河ドラマ

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