今回訪ねたのは日本橋「長門」です。
日本橋「長門」といえば、雑誌、本、インターネットで「久寿もち」が再三取り上げられている有名店です。
日本橋と言っても、東京駅前で、東京駅の八重洲北口からですと5分弱でお店に着きます。
お店は、間口3間弱のこじんまりしたお店ですが、創業は江戸時代の中期、徳川8代将軍・吉宗の頃という大変古い歴史のあるお店です。
将軍家の御用商人となって、「松岡長門大掾藤原信吉」の称号と帯刀を許されたそうです。
現在の「長門」の商号は、「松岡長門」の「長門」を採ったものです。
いただいたしおりによれば、江戸時代には、神田通新石町「須田町際」にあったそうです。現在地に移ったのは、戦後間もなくのことだそうです。神田のお店が、戦災で焼失したため、現在地に移転したとの奥様のお話でした。
インターネットでの注目されている菓子は「久寿もち」です。
関東の多くの「くず餅」は、小麦粉から作られますが、「長門」の「くず餅」はわらび粉から作られます。
わらび粉は、わらびの根から採ります。あの細いわらびから採るのですから、相当の数のわらびが必要になると思います。
「長門」の「くず餅」を食べてみました。
正方形を斜めに切った形をしていますが、「くず餅」よりはるかに肌理(きめ)が細かくてびっくりしました。
「長門」での、江戸時代から販売している和菓子は、「松風」というお菓子です。
これは、瓦せんべいだそうです。
将軍家に献上していたものの、大正初年頃から最近まで製造を中止していましたが、近年に復活したものだそうです。
現在も、職人さんの事情等から、多くは製造できないそうです。
そのため、なかなか手に入らない貴重品になってしまっているようです。
「葵最中」も、とりあげられることが多いお菓子です。
「長門」では、将軍家に献上していたことから、葵の紋の使用が特に許されたそうです。
ただし、二葉葵を使用するようにとのことだったようです。
そこで、「長門」では、葵の紋を、包装紙にも使用しています。
包装紙を見ると確かに二葉葵となっていました。
「葵最中」も「葵の紋を使用した和菓子」として考案された物だそうです。
最中の皮に葵がデザインされていますが、よく見ると確かに二葉葵の図柄になっています。
また、黒ゴマが入っているところが特徴です。
「長門」では、販売する近くで製造するという考えから、お店のあるビルで、和菓子を作っているとのことでした。
こだわりが感じられますね。
数多くある和菓子の中で、「長門」の本当の良さがわかるのは「半生菓子」で、奥様のお話では、これがお勧めとのことでした。
これは、日持ちが生菓子より長く1週間程度大丈夫です。
季節に合わせた様々の型をしていて、目でも楽しめます。
一つ一つが職人さんの手作りだそうで、手が掛かったものです。
ところで、「生菓子」や「干菓子」とはよく聞きますが、「半生菓子」とは聞きなれない名前です。
そこで、ネットで検索してみました。
全国菓子工業組合連合会のHPによると、
一般には水分を30%以上含むものは生菓子、水分が10~30%のものは半生菓子、水分が10%以下のものが干菓子とされます。
半生菓子なんて普通の方は耳にしたことはないと思いますが、お菓子で言うと羊羹、カステラ、カップケーキなどがこれに入ります。
と書いてあります。
この説明からすると「半生菓子」というのは、生菓子より水分を押さえて日持ちがするようにした菓子をいうようですね。
「長門」の「半生菓子」を買って味わってみました。
上品な砂糖菓子で、大事に大事に味わって食べるお菓子です。
御抹茶とあわせていただくと一層味わいがますように思うお菓子でした。
また、大事なお客様のお届け物としてお届けしたら、後日、奥様から「大変おいしかった」とわざわざお礼の言葉がありました。
赤印が「長門」です。
東京駅の八重洲北口から3分、東京メトロ日本橋B3出口からですと1分です。