大石内蔵助は、浅野家再興運動を行っていましたが、元禄15年7月18日に浅野大学は広島藩浅野家が引取り、国許に差遣わすとする処分が下りました。
この処分について、多くの本は「御預け」と書いてありますが、赤穂市編纂の「忠臣蔵第1巻」には、非常に詳しく書かれていて、それによれば
広島藩に「御預け」ということではないので、あまり難しく受け取らなくてもよいという説明がされていて、幕府としては、広島藩などからの浅野家再興の願いにある程度配慮した形になっている。としてあります。
浅野大学は、18日に若年寄からの仰渡しを受けた木挽町の屋敷から、妻子とともに桜田にある浅野家屋敷に移り、29日に江戸をたち8月21日に広島に着きました。
木挽町の浅野大学の屋敷は22日に収公されています。
なお、浅野大学の屋敷の跡は現在歌舞伎座になっています。(右上写真)
この浅野大学への処分決定の知らせは、江戸の吉田忠左衛門から7月24日に大石内蔵助に届きました。
また、上方に来ていた堀部安兵衛には、奥田孫太夫が知らせてきました。
堀部安兵衛が上方に来ているというのは不思議な気がします。
実は、大石内蔵助を除いても討ち入りを決行しようと考えたため、上方に来て原惣右衛門らと協議していたためです。
堀部安兵衛は強硬派として即時討ち入りを主張していました。それに対して大石内蔵助は、浅野大学の処分が決まるまで決行は慎重に対応するという考えでした。
大石内蔵助の考えでは、討ち入りがいつになるか分からないと考えた堀部安兵衛は、原惣右衛門ら上方の強硬派と連絡をとり、大石内蔵助抜きで討ち入りを決行しようとして、上方に来ていたのでした。
そして、原惣右衛門らも同意して、大石内蔵助とへ決別して、独自に行動する合意ができたばかりでした。
その堀部安兵衛にも、江戸の奥田孫太夫から浅野大学の処分内容が7月25日に報告されました。
大学処分が決まるとの報がもたらされ、大石内蔵助は京・大坂に在住している同志を召集しました。
元禄15年7月28日、場所は、京都円山安養寺の塔頭重阿弥でした。
これが世にいう「円山会議」です。
安養寺は、平安時代初期に最澄が創建した寺で、吉水坊と称し法然が30数年間ここを本拠に称名念仏の布教に取り組んだお寺です。(右上写真参照)
後に、専修念仏弾圧で荒廃し、時宗に宗派を改めて繁栄し、境内に塔頭六阿弥坊(中のがありました。
この六阿弥坊のうちの一つである重阿弥で円山会議が開かれました。
安養寺の山号「慈円山」の「慈」が省かれて「円山公園」の名称になっています。
この会議の参加者は19名で、次の人々が円山会議の参加者です。
大石内蔵助 原惣右衛門 間瀬久太夫 小野寺十内 大石主税 潮田又之丞 堀部安兵衛、
大石瀬左衛門 不破数右衛門 岡野金右衛門、貝賀弥左衛門、 大高源五、 武林唯七
間瀬孫九郎、小野寺幸右衛門、矢頭右衛門七、三村次郎左衛門、岡本次郎左衛門、大石孫四郎
この会議参加者の中で、岡本次郎左衛門と大石孫四郎は、後に脱盟します。
また、それまで大石内蔵助とともに行動していた大石内蔵助の叔父の小山源五右衛門と従兄弟の進藤源四郎が出席していません
浅野家再興の望みを絶たれたという新しい情勢の展開を受けて、この会議で、強硬派や慎重派の意見の違いは全くなくなり、目指すところはただ一つ仇討決行となりました。