山本博文先生の「敗者の日本史 赤穂事件と四十六士」によれば
赤穂浪士が事前に購入したものは、次のようなものであると書かれています。
1、鑓 12本
2、長刀 2振
3、まさかり 2挺
4、弓 4張
5、竹ばしご 大小4挺
6、げんのう 2丁
7、鉄手木(てつてご 鉄製のてこ) 2丁
8、木手こ(きてご 木製のてこ) 2丁
9、鉄槌 2本
10、大のこぎり 2丁
11、かすがい 60本
12、かなすき 2丁
13、取かぎに長細を引きつけたもの 16.7本
14、玉火松明 人数分
15、ちゃるめらの小笛 人数分
16、がんどう提灯 1つ
17、水溜の大張 2つ
人と戦うための武器と思えるのは、1の鑓、2の長刀、4の弓です。
それ以外は、屋敷侵入用の道具や長屋の戸を閉めるための道具が大半です。
3のまさかり、5の竹ばしご、10の大のこぎり、13の取かぎに長細をひきつけたものなどの屋敷に侵入するため道具です。
6のげんのう、9の鉄槌、11のかすがいは戸を閉めるための道具です。
14の松明は照明用で、16のがんどう提灯は吉良上野介確認用と思われます。
15のちゃるめらは、吉良上野介発見の際の合図用です。
屋敷に侵入する道具などは、日ごろは持っていなかったため、購入したのではないでしょうか。
それでは、各人がどんな武器を準備していたかを書いたのが次です。
山本博文先生の「本当の忠臣蔵」に掲載されています。
元の資料は「赤城士話」のようです。
表門組
表門固め ⇒ 全員の武器が鑓、「十文字」は「十文字鎗」のこと
大石内蔵助(44)十文字、 原惣右衛門(55)十文字、 堀部弥兵衛(76)直鎗、
間瀬久太夫(62)鍵鎗、 村松喜兵衛(61)鍵鎗
玄関固め ⇒ 槍や半弓が中心 「野太刀」は「長太刀」ともいい、長い刀。
近松勘六(33)刀、 大高源五(31)野太刀、 間十次郎(25)十文字、
早水藤左衛門(39)半弓、 矢頭右衛門七(17)鍵鎗、神崎与五郎(37)半弓
新門固め ⇒ 鎗が中心
岡野金石衛門(23)十文字、貝賀弥左衛門(53)手鎗、 横川勘平(36)刀
屋敷内斬り込み ⇒ 三分の二が刀、三分の一が鎗. 「長刀」は「なぎなた」のことだそうです。
片岡源五右衛門(36) 十文字、 富森助右衛門(33)十文字、武林唯七(31)大身鎗
勝田新左衛門(23)鎗、矢田五郎右衛門(28)長刀、 奥田孫太夫(56)長刀、
吉田澤右衛門(28) 刀、 小野寺幸右衛門(27)刀、 岡島八十右衛門(37)刀
裏門組
裏門内固め ⇒ 全員が鎗
大石主税(15)十文字 吉田忠左衛門(63)鍵鎗、間喜兵衛(68)十文字
小野寺十内(60) 鍵鎗、 潮田又之丞(34)鍵鎗
長屋防ぎ ⇒ 槍や半弓が中心
木村岡右衛門(45) 鍵鎗、 不破数右衛門(33)鍵鎗、前原伊助(39)刀
茅野和助(36) 半弓 、干馬三郎兵衛(50) 半弓 、間新六(23)半弓
間瀬孫九郎(22)十文字、 中村勘助(46)十文字、奥田貞右衛門(25)野太刀
屋敷内斬り込み ⇒ 三分の二が刀、三分の一が鎗
磯貝十郎左衛門(24)直鎗、堀部安兵衛(33)野太刀、 倉橋伝助(33)刀
赤埴源蔵(34)刀、大石瀬左衛門(26)十文字、村松三太夫(25)直鎗
菅谷半之丞(43) 刀、 杉野十平次(27) 刀 、三村次郎左衛門(38)刀、
寺坂吉右衛門(39)刀
これを見ると、次のような特徴がわかります。
1、屋外待機組は、鑓を所持しているものが多い
2、屋内突入組は、大分が刀を所持している。
3、年齢の高いものや年少の者は、鑓を所持していることが多い。