現在は、私は江戸検の受験勉強は直接やっていませんので、昔の私の勉強方法がご参考になるかどうかわかりませんので書くのを躊躇していました。
しかし、今年の一級の問題を見させていただいたので、実際の試験と同じようにやってみました。
そうしましたら、思いがけず81問正解となり、運よく合格ラインを突破できましたので、恥ずかしながら、受験勉強をしていた当時を思い出して、勉強方法についての私なりの考えを書いてみることにしました。
受験される方は、それぞれ自分なりのやり方があると思い、私のやり方が良いということはありえません。
受験勉強は、受験される皆さんが自分にあった方法を自分で見つけだすのが最もよいことだと思います。
しかし、これから書く私のやり方が、自分なりの受験勉強の方法を見つけ出すことにいくらかでもお役に立つことになれば幸いだと考え書いてみます。
1、どんな本がよいか
まず、「どんな本を読んだらよいか」という質問でしたので、それについて私の考えを書きます。
①乱読でも読書量を増やした方がよい。

私は一級受験の1年目には江戸関連の本を約60冊読みました。
しかし、実際に受験してみて、それでは合格するにはまったく不十分だと思いましたので、2年目には約140冊読み、通算で200冊以上の本を読みました。それでも、当時は、読み足りないと思っていました。
ジャンルはいろいろですが、比較的余裕のある冬~春期には、「南総里見八犬伝」「好色一代男」「江戸参府旅行日記」「折りたく柴の記」「宇下人言」などの小説・原典の現代語訳も読みました。
受験勉強が本格化する夏から秋期には受験に直接関係するものを中心に読みました。
②「博覧強記」が最も大切

「博覧強記」から一級の場合、約4割出題されることとなっています。
理屈上は「博覧強記」を丸暗記すれば、約40問正解となるということになります。
ですから、「博覧強記」は全文暗記するつもりで何回も読み込んだ方がよいと思います。
私は「博覧強記」は1年目に8回、2年目に10回、通算で18回読み込みました。
特に最後の1ヶ月間は2年間とも「博覧強記」の読み込みに集中しました。
また、「博覧強記」は暗記ブックと考えていましたので、ラインマーカーを引くのは当然ながら、その他の暗記すべき事項はすべて「博覧強記」に書き込んで暗記しました。
ご参考に私の「博覧強記」の一部を画像で示します。
下の写真は、私の「博覧強記」の158ページの町火消の項目ですが、ページ一杯に書き込みをして町火消についての重要事項を暗記しました。
また、左ページは「江戸時代名数事典」というコラムですが、こうしたコラムからも出題されるかもしれないと考えて大事なところはマークしておきました。
このように「博覧強記」は、図表を含めてすべてのページをすべて暗記するつもりで読み込みをしました。

③知識が集約された事典関係の本が役にたつ

たくさんある本の中で、事典関係の本は知識が集約されているので短時間に大量の知識情報が入手できるので繰り返し読みました。
「江戸学事典」「徳川幕府事典」「江戸城を読む」「徳川妻妾記」「江戸時代人名控1000」などは3回から4回読みました。
これらの本を熟読すると大変有用だと思います。
特に「江戸学事典」は、専門分野の研究者が事項ごとに分担して書いたもので読みやすく知識や情報が豊富ですので、この本は手元において熟読されるとよいと思います。
「徳川幕府事典」「江戸城を読む」は「今年のお題」がらみだったように記憶していますが、現在でもその時に得た情報が史跡ガイド等に役だっています。
なお、この類に年表があります。小学館の「見る・読む・調べる江戸時代年表」は、年代確認が必要な時に常に使用していました。
④通史の勉強が必要

その際、年号は不可欠ですので、当然ながら年号は「慶長」から「慶応」まで丸暗記しました。
通史の勉強に使用したのは、出版年度が古い全集本でした。最近の通史の本は、テーマごとに書いているケースが多く初心者が全体の流れを捉えるという点では利用しにくいと考えています。
私が熟読したのは小学館ライブラリー「体系日本の歴史」と「集英社版 日本の歴史(12)~(15)」です。
小学館ライブラリー「体系日本の歴史」は、文庫本なので持ち運びに便利ですし内容も非常に読みやすく重宝しました。しかしこれは現在絶版ですので入手しにくいと思います。私は古本屋で入手しました。
通史を勉強する中で、島原の乱・赤穂事件・三大改革・幕末等の有名事件や将軍・幕閣・文化人等の有名人は、しっかり記憶しました。
⑤興味ある分野の本を読む

ですから、自分の興味のある分野を深く探求していくのがよいのではないでしょうか。
浮世絵が好きな人は浮世絵、捕物帳が好きな人は刑罰史、花が好きな人は「江戸の園芸」、落語が好きな人は「江戸の落語」といった具合です。
江戸検一級2期会の仲間でも、全分野をマスターしている人などいません。
それぞれの得意分野がりあります。 政治史は誰、歌舞伎は誰、庶民文化は誰、街道は誰、といった具合です。
興味ある分野について一生懸命勉強して、その分野は任しておけと言えるようになればシメタものです。
私は、人物史が好きでしたので、伝記類は数多く読みました。
吉川弘文館の人物叢書は、「徳川綱吉」「徳川光圀」「徳川吉宗」などかなり読みました。
2、本以外から情報収集
知識や情報は書物からだけ得られるものではありません。
①史跡めぐりや博物館めぐりも役に立つ

具体的には、皇居東御苑を回ることにより江戸城の様子がわかりましたし、36見附跡を巡ることにより江戸城の城門の理解が深まりました。
また江戸東京博物館などは、日本橋や中村座が復元されていて当時をイメージするには絶好の場所です。
できるだけ史跡や博物館などは見たほうがよいと思います。
②インターネットは意外と有用です。
江戸検の難問もインターネットで探すと回答が見つかることが多いように思います。
ですから、本や「博覧強記」を読んだだけでは十分理解できない項目や説明が不十分な項目はインター ネットで確認するとより理解が深まると思います。
ウィキペディアは、関連項目についての参照検索もやりやすいので、利用をお勧めします。
ウィキペディアで私は多くの知識・情報を手に入れました。
3、場合により長期計画も一法
江戸検はかなり難しく、特に一級は生半可の知識では合格は難しいと思います。
ですから、数年計画で合格をめざす方もあると思います。
そうした方は、浅く広く知識を漁るのではなく、合格のため長期計画をたてて、ポイントを絞って、深く勉強したほうがよいと思います。
例えば、1年目は政治史をマスターし、2年目は文化史を習得し、3年目には庶民文化史を制覇するといったやり方も考えられるのではないでしょうか。
江戸検一級の扉を開くことは最初は難しくても 回を重ねることにより必ず扉は開かれると思います。
あきらめたら扉は開きません。挑戦し続けることが大切だと思います。
たとえ今回の江戸検が不合格であっても、それであきらめずにこれからも頑張ってください。
なお、受験方法等についてご質問等ありましたら、気軽にコメントやメールでお寄せ下さい。
可能な限りお答えしようと思います。