人気ブログランキング | 話題のタグを見る
酢の歴史(江戸の食文化28)
 今日からは数回に亘り、「酢」のお話をしていきたいと思います。

 「酢」は、醤油や味噌と異なり、アジア独自の調味料ではなく、世界各地で作られてきた歴史があります。
酢の歴史(江戸の食文化28)_c0187004_1013993.jpg 「酢」は英語ではvinegarと言いますが、これはフランス語の酢を意味する vinaigre (ビネーグル)からきていますが、vinaigreは vin(ワイン)+aigre (酸っぱい)つまり〔酸っぱいワイン〕に由来しています。
 つまり、酒が酸化したものが「酢」です。
 そのため、「酢」は酒が造りはじめられたのとほぼ同時期に造られるようになったと考えられています。
 紀元前13世紀のモーゼの書にも出てきているそうですし、歴史家へロトドスや哲学者アリストテレスの書物にも出てくるそうです。

 日本の「酢」は、応神天皇のころ、中国から酒造りの技術と前後して日本に伝来したといわれています。
 主に和泉(いまの大阪府堺市付近)に伝わったとされていて、以後、和泉は江戸時代まで酢の代表的な生産地となり、そこで生産される酢は「いずみ酢」とよばれました。
 藤原京や平城京から出土した木簡に「酢」という文字が記されているようです。
 「万葉集」の巻16には「酢」という言葉が登場する次の和歌があります。
 醤(ひしほ)酢に 蒜(ひる)搗き合(か)てて 鯛願ふ  我れにな見えそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの)

 日本人の食生活は、奈良時代に肉食が禁じられたために魚介類が最高の素材として料理文化が発達していきます。 また、古代の日本の首都は、奈良・京都といった内陸部にあり、生で食べられる魚として、季節に関係なく新鮮な魚である川魚(特に鯉)が貴重なものとされてきました。
 「酢」は、それらを食べるための調味料として使用されました

 時代が室町時代に進むと、 生魚を細く切って酢で和えたものが「鱠(なます)」と呼ばれるようになり、「酢」は調理にも使われるようになってきます。
 また「さしみ」も登場し、タデ酢などの合わせ酢にも使われるようになってきます。
.
 江戸時代になると醤油の完成により、魚介類の調味料は、酢から醤油へと変わっていきます。
庶民の食文化が発達したこの時代、醤油、味噌とともに酢も庶民の食生活にも普及してきます。それまでのタデ酢、ショウガ酢、カラシ酢、ゴマ酢のほかに、味噌酢、二杯酢、三杯酢など味噌や醤油との「合わせ酢」が工夫され増えていき、お酢が料理に溶け込んでいくようになります。

 江戸時代には、「酢」を利用した食文化が大きく花開くことになります。
 すなわち「握り寿司」です。
 「寿司」はもともと、発酵保存のために古来より作られてきた「なれすし」ですが、江戸時代になると、酢を使うことが一般的になり、「早寿司」と総称される寿司が考案されます。
 そして、文政年間に酢飯と生魚を合わせて握る「握り寿司」が考案されました。
 この「握りすし」には、三河で考案された「粕酢(かすず)」が欠かせないものでした。
 「寿司」は、その後、大きく発展し、現在では、全世界に広がり、日本食の代表となっていいますが、その発展に「酢」は大きな貢献をしているわけです。
by wheatbaku | 2014-03-12 09:51 | 江戸の食文化

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
以前の記事
2026年 07月
2026年 06月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 04月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事