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丸久小山園 抹茶製造工程
 京都宇治の丸久小山園では、抹茶の製造工程も教えていただきました。
 壁に掲示してあったパネルは撮影許可をいただきましたので、撮影してきました。
 今日は、工場に掲示されてあった資料に基づき、抹茶の製造工程をご案内します。

 抹茶の概略の工程は、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)を製造する工程と碾茶を挽いて抹茶を製造する工程とに分かれます。
 抹茶ができる前に、碾茶という中間加工品があるということを今回初めて知りました。

1茶園に覆いをする。
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12283824.jpg 4月上旬には、茶園に「よしず」を広げて、さらに、日光を遮るため、わらを均等に振り広げる「わらふり」が何回かに分けて行なわれます。
 この作業はかなりの重労働のようです。
 現在、被覆は取り扱いの良さ、耐久性の強さなどから、寒冷紗も用いられているとのことです。
 覆下茶園で育った新芽は鮮やかな緑色でしかも渋味が少なく旨味が多くなるそうです。

2手摘み
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_122978.jpg 5月上旬には、人手による茶摘みが始まりますが、宇治の碾茶(てんちゃ)は現在でも一葉一葉大切に手で摘み採っていきます。
  茶の樹は前年の摘採直後に台刈りされ、1年かけて枝葉を伸ばし、地上1.2mくらいまで成長させたもので、品質を落とさないよう1年に1回、一番茶しか摘まないそうです。
 一年に一回しか摘まないし、かつ人で摘むわけですから、抹茶が高価なのはわかりますね。

3、蒸 し
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12294444.jpg 摘採した生葉を放置すると、ただちに発酵が始まり、熱をもちます。
 そこで、生葉の品質劣化防止・鮮度維持のために、荒茶工場へ運ばれた茶摘まれた生葉はすぐに強烈な蒸気で蒸されます。
 蒸すことによって発酵を止めることができるそうで、日本のお茶独特のものだそうです。

4攪拌・冷却
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_1230297.jpg  蒸した茶葉は、高温のまま放置すると、色・香味とも悪くなるため、ネットで覆った冷却用の散茶機の内部に吹き上げ、蒸し葉同士が重なり合わないように拡散させながら冷却します。


5乾燥
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12313894.jpg 冷却された茶葉は、まだ水分が含まれているため、「ほいろ」と呼ばれるレンガ造りの乾燥炉の中で、コンベア上を移動させ乾燥させます。
 こうして出来上がったお茶を「碾茶の荒茶」と呼ばれます。


5冷蔵保存
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_1232093.jpg 冷蔵保管される荒茶できあがった荒茶は密封され、低温で貯蔵されます。そして必要量だけを少しずつ出庫して精選加工の工程にまわします。


6、精撰加工
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12325679.jpg 冷蔵庫から出された荒碾茶は、一定の形に切断され、唐箕(とうみ)にかけ、風力を利用して茎や葉脈を取り除きます。
 さらに「ふるい」にかけて、大きさを揃えます。
 そして、静電気の作用で混入した古葉やわらを取り除きます。

7、審 査
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12353756.jpg 精撰で出来た碾茶は、品種・地質・肥料の加減・製造時期などによって違うそうです。
 その品質や特徴を、外観・味・香り・水色・かす色によって見極めます。


8合組み・石臼による粉砕
丸久小山園 抹茶製造工程_c0187004_12333721.jpg  審査で、色・香り・味それぞれの特色がチェックされた碾茶は、バランスのとれた製品にする為に、それぞれの特徴を生かして合組み(ブレンド)された仕立碾茶が出来上がります。
 そして銘柄別の仕立碾茶は、石臼でじっくりと時間をかけて、キメ細かくひき上げられます。ミクロン単位の粒子の細かさや独特の風味などの点で、石臼以上のものはないそうです。
by wheatbaku | 2014-04-15 12:29 | 江戸の老舗

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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