「本田味噌本店」は天保元年(1830年)に創業された老舗です。
丹波杜氏であった初代丹波屋茂助が御所のご用命を受け、宮中の料理用味噌を吟醸し、献上したのが始まりとのことです。
本田味噌本店ののれんに「丸に丹」の字が染め込まれているのは、丹波屋と称していたからだそうです。
お店は、京都御所の西側にあり、市営地下鉄烏丸線「今出川駅」6番出口より徒歩6分 にあります。
烏丸通りから西に入った住宅街の中にあり、町家風の落ち着いた店舗でした。
「本田味噌本店」のメイン商品は、「西京白味噌」という商品です。
「西京味噌」といえば、魚などを西京味噌に付け込んだ「西京漬け」が思い起こされますが、「西京味噌」と呼ばれるようになったのは、明治維新により都が江戸へ遷都され「東京」となり、それに対して京都を「西京」とも呼んだことから、「西京味噌」といわれるようになったようです。
「西京味噌」と呼ばれるには、しっかりした決まりがあるようで、京都府味噌工業協同組合の定める西京味噌の定義等は次のようになっています。
①西京味噌の定義
京都府味噌工業協同組合に所属する企業が、同組合の認定する原料を使用し、京都府内で生産し、同組合の品質認定を受けた低塩甘口の白みそ。
②西京味噌の品質認定
西京味噌の品質については、京都府味噌工業協同組合内に設置する品質審査委員会において認められたものに限る。
③西京味噌の製造技術
(ア) 京都府内で創業50年以上、もしくは味噌技能士1級以上の技術者が在職していること。
(イ) 全国味噌協同組合連合会主催の鑑評会で表彰されている、またはそれと同等の製造技術を有していること。
(ウ) 前項のいずれかに該当すること。
西京味噌は、味噌の種類の中では、①米味噌、②甘味噌、③白味噌 ということになります。
甘味噌に分類されていますが、実際に、食してみると、名前の通り、非常に甘いことがわかります。
これは、米の割合が麹歩合が18割であることによります。
また、色が淡いクリーム色の白味噌ですが、白味噌となるには、大豆を蒸さずに煮るなど、着色させない工夫を製造工程の随所に取り入れているようです。
味噌には、大きく分けて、白味噌と赤みそがありますが、このような色の違いは、豆蒸しの過程及び発酵の過程で起こるメイラ−ド反応によって違ってくるんだそうです。
メイラ−ド反応とは、大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐色に変化することで、メイラ−ド反応が十分に起こった味噌ほど、褐色になります。
このメイラ−ド反応を抑えるために、白味噌は、蒸さずに煮ます。
また、熟成期間が長いと着色が進むため、白味噌は短期間で熟成させます。
こうして淡いクリーム色の西京味噌ができあがるようです。
店内には、江戸時代に禁裏御用を賜っていた証である「禁裏御所御出入御門鑑(きんりごしょおんでいりごもんかん)」が2枚、そして「准后殿御出入御門鑑札(じゅんごうごてんおんでいりごもんかん)」1枚が展示されていました。
右写真の左に写っている鑑札がそれです。
なお、准后とは、准三后ともいい、太皇太后、皇太后、皇后の三后に准じて優遇された皇族・貴族をいいます。
赤印が「本田味噌本店」です。
今出川通りに面している 「虎屋京都一条店」(青印) が目印となります。