人気ブログランキング | 話題のタグを見る
鮒ずし(江戸の食文化39)
 江戸の食文化の代表に掲げられるのが寿司です。
 その寿司の起源は、「なれずし」だと言われています。
 その「なれずし」の姿を現在に残しているのが「鮒ずし」だと言われています。

鮒ずし(江戸の食文化39)_c0187004_1405729.jpg 京都に行った際、鮒ずしを京都駅で見つけましたが、老舗のものでなかったのであきらめて、大津市にある 明治2年創業の老舗「阪本屋」の鮒ずしを取寄せて食しました。
 そこで、今日は、「鮒ずし」のお話です。
 
 すしの起源は、紀元前4世紀頃の東南アジアまで遡ると言われています。
 タンパク質をおぎなうため、飯の中に塩味をつけた魚を漬けて発酵させる魚肉を保存す方法だったとされています。
 これは、内臓を処理した魚を米飯に漬け、米飯の乳酸発酵によって魚の保存性を高めた食べ物でした。
 このすしを「なれずし」と呼び、数十日から数カ月たったところで魚をとりだし、魚だけを食べ、米は捨てられていました。

 近江の「鮒すし」は、鮒を用いて作られる「なれずし」の一種で、米の発酵を利用した保存食です。
 鮒ずしの起源は、千数百年以上前に、稲作技術とともに中国より伝わったものであると言われています。
 近江の「鮒ずし」は、古くは延喜式(927年)の中にも記されているそうです。
鮒ずし(江戸の食文化39)_c0187004_1453440.jpg 「鮒ずしは」滋賀県の郷土料理で、滋賀県指定無形民族文化財に選ばれました。
 主に琵琶湖の固有種であるニゴロブナが使用されます。
 オスメスともに使われますが、子持ちのメスのものが高価だそうです。

 春の産卵期に、子持ちのニゴロブナの内臓を除き、たっぷり塩を詰めたものを多数桶に詰め重しを乗せて塩漬けにします。
 夏場まで3ヶ月ほど塩漬けにした後、鮒を取り出して水で良く洗い、さらに水に浸けて塩抜きをします。
 次に塩を混ぜた飯を鮒の身の中に詰めます。桶の中に鮒だけでなく飯も交互に敷き詰め、鮒は身の内と外から飯に囲まれた状態で敷き詰められます。
 落とし蓋の上から重しがかけられ、念入りにする場合には、落としぶたの上に水を張って外気を遮断します。
 こうして、桶を涼しいところにおいて、鮒と飯を発酵させます。
 
 鮒は乳酸発酵によって腐敗が防止され、アミノ酸などのうま味成分が増してきます。
 こうしてできるのが鮒寿司です。

 真空パックで送られてきた「鮒ずし」には、食べ方の説明書がついていました。
鮒ずし(江戸の食文化39)_c0187004_145553.jpg それによると次の三種類が提案されていました。
 ①鮒に付いている白いごはん粒を洗わずに切り、切身をそのまま、または醤油を少しつけて、酒の肴としてたべる。
 ②お椀に切身を2~3片いれ、食塩と鰹だしをいれて、熱湯か茶をそそぎ即席のお吸い物としてたべる。
 ③御飯に2~3切いれて醤油を数滴たらし、お茶漬けにしていただく。

 この3種類の食べ方の中から、ためしに、酒の肴として、鮒ずしの切身をそのまま食べました。
 強烈な匂いがすると聞いていましたので、こわごわ食べてみましたが、匂いはまったく気になりませんでした。
 ほどよい酸味があり、お酒の肴として素晴らしい味でした。ごはん粒も食べてみましたが、ヨーグルトのような酸味があり、苦にはなりませんでした。

 そこで、翌朝には、お茶づけにして食べようと楽しみにして冷蔵庫に入れておきました。
 しかし、翌朝、「鮒ずし」を食べてみて驚きました。
 発酵が一気にすすみ、酸味が強くなりすぎていました。それでもお茶漬けにして食べてみましたが、前夜のほうがずっとおいしかったですね。
 やはり、開封したらすぐに食べた方がよいように私は思いました。
 ちなみに注文したのは、鮒ずしお試しサイズ1700円で、一人ですぐに食べられるほどの量です。
 
by wheatbaku | 2014-04-18 13:54 | 江戸の食文化

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
以前の記事
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事