その寿司の起源は、「なれずし」だと言われています。
その「なれずし」の姿を現在に残しているのが「鮒ずし」だと言われています。

そこで、今日は、「鮒ずし」のお話です。
すしの起源は、紀元前4世紀頃の東南アジアまで遡ると言われています。
タンパク質をおぎなうため、飯の中に塩味をつけた魚を漬けて発酵させる魚肉を保存す方法だったとされています。
これは、内臓を処理した魚を米飯に漬け、米飯の乳酸発酵によって魚の保存性を高めた食べ物でした。
このすしを「なれずし」と呼び、数十日から数カ月たったところで魚をとりだし、魚だけを食べ、米は捨てられていました。
近江の「鮒すし」は、鮒を用いて作られる「なれずし」の一種で、米の発酵を利用した保存食です。
鮒ずしの起源は、千数百年以上前に、稲作技術とともに中国より伝わったものであると言われています。
近江の「鮒ずし」は、古くは延喜式(927年)の中にも記されているそうです。

主に琵琶湖の固有種であるニゴロブナが使用されます。
オスメスともに使われますが、子持ちのメスのものが高価だそうです。
春の産卵期に、子持ちのニゴロブナの内臓を除き、たっぷり塩を詰めたものを多数桶に詰め重しを乗せて塩漬けにします。
夏場まで3ヶ月ほど塩漬けにした後、鮒を取り出して水で良く洗い、さらに水に浸けて塩抜きをします。
次に塩を混ぜた飯を鮒の身の中に詰めます。桶の中に鮒だけでなく飯も交互に敷き詰め、鮒は身の内と外から飯に囲まれた状態で敷き詰められます。
落とし蓋の上から重しがかけられ、念入りにする場合には、落としぶたの上に水を張って外気を遮断します。
こうして、桶を涼しいところにおいて、鮒と飯を発酵させます。
鮒は乳酸発酵によって腐敗が防止され、アミノ酸などのうま味成分が増してきます。
こうしてできるのが鮒寿司です。
真空パックで送られてきた「鮒ずし」には、食べ方の説明書がついていました。

①鮒に付いている白いごはん粒を洗わずに切り、切身をそのまま、または醤油を少しつけて、酒の肴としてたべる。
②お椀に切身を2~3片いれ、食塩と鰹だしをいれて、熱湯か茶をそそぎ即席のお吸い物としてたべる。
③御飯に2~3切いれて醤油を数滴たらし、お茶漬けにしていただく。
この3種類の食べ方の中から、ためしに、酒の肴として、鮒ずしの切身をそのまま食べました。
強烈な匂いがすると聞いていましたので、こわごわ食べてみましたが、匂いはまったく気になりませんでした。
ほどよい酸味があり、お酒の肴として素晴らしい味でした。ごはん粒も食べてみましたが、ヨーグルトのような酸味があり、苦にはなりませんでした。
そこで、翌朝には、お茶づけにして食べようと楽しみにして冷蔵庫に入れておきました。
しかし、翌朝、「鮒ずし」を食べてみて驚きました。
発酵が一気にすすみ、酸味が強くなりすぎていました。それでもお茶漬けにして食べてみましたが、前夜のほうがずっとおいしかったですね。
やはり、開封したらすぐに食べた方がよいように私は思いました。
ちなみに注文したのは、鮒ずしお試しサイズ1700円で、一人ですぐに食べられるほどの量です。