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抹茶・玉露(お茶の話4、江戸の食文化43 )
 今日は、食文化の話題に戻ります。
 お茶については、先週末にお茶の歴史を書きました。
 そして、先週の土曜日には「巣鴨食文化散歩」で江戸時代に創業した「岩田園」さんでお茶の説明を聞いてきました。
 そこで、今日は、お茶の話の続きで、お茶の種類にどのようなものがあるか説明します。

 お茶は大きく分けて、不発酵茶の緑茶 、半発酵茶の烏龍茶 、発酵茶の紅茶があることは、すでに書きました。
 岩田園さんでも、まず最初に、この説明がありましたので、再度、書いておきます。
 お茶の葉を摘み取ってすぐに蒸して発酵(酸化発酵)しないようにして作ったのが緑茶、完全に発酵(酸化発酵)させたものが発酵茶の紅茶、その中間に位置するのが半発酵茶で烏龍茶が代表です。

 これらのお茶の中で、日本で圧倒的に飲まれているのは緑茶ですので、これからは、緑茶の種類について書きます。

 緑茶の分類方法はいろいろあるようですが、茶葉が育った茶園が覆下園(おおいしたえん)か露天園かによっても分類することができます。
 覆下園というのは、ヨシズ・ワラ、または寒冷紗などの化学繊維などにより覆いをした茶園で、茶を摘む前に一定期間、日光を遮ることにより、渋みが少なく旨味が多いお茶となります。
 露天園というのは覆いをしない茶園を言います。

 覆下園で育った茶葉から作られるお茶には、「碾(てん)茶」「抹茶」「玉露」「かぶせ茶」があり、露天園で育った茶葉から作られるお茶には「煎茶」「番茶」「ほうじ茶」などがあります。

「碾(てん)茶」・「抹茶」
「碾(てん)茶」は、茶園をワラやヨシズなどで覆い日光をさえぎって育てた茶葉(一番茶)から作られます。
抹茶・玉露(お茶の話4、江戸の食文化43 )_c0187004_11131562.jpg 最近は、寒冷紗などの化学繊維で覆うことも多くなっています。
 摘んだ茶葉を蒸した後、揉まずに乾燥したものが「碾(てん)茶」となります。
 「碾(てん)茶」の「碾(てん)」には「ひき臼」または「物をすりつぶす」と意味があります。
 ひき臼ですりつぶすお茶であることから「碾(てん)茶)」と呼ぶようです。
 碾茶を、ひき臼(石臼)で挽いたものが抹茶です。

「玉露」・「かぶせ茶」

 茶園をヨシズやワラで20日間ほど覆い、日光をさえぎって育てたお茶から「玉露」が作られます。
抹茶・玉露(お茶の話4、江戸の食文化43 )_c0187004_1113366.jpg  碾茶・抹茶も覆下園の茶葉から作られますが、 「碾茶」は揉まず、「玉露」には揉みの工程がある点が大きく違います。
 「かぶせ茶(冠茶)」は、「玉露」と同じように、被覆栽培した茶葉から作りますが、「かぶせ茶」は「玉露」よりも被覆期間が、1週間前後と「玉露」より短くなります。
 「玉露」は、年1回しか収穫できませんので、高価なものになります。
 そこで、玉露の風味をもつお茶を安く提供するために、被覆期間を1週間前後として「玉露」より安価でできる「かぶせ茶」が考えだされました。

 さて、茶園に覆いをするとなぜ旨味が増すかについて書いておきます。
 お茶の成分にテアニンという成分があります。
 このテアニンはお茶の木の根で作られてから葉に移動し、日光に当たるとカテキンに変化します。
 テアニンはアミノ酸の一種で旨みがあり、カテキンには渋味があります。
 ワラやヨシズで覆いをすると光合成が抑制され、テアニンからカテキンへの変化が遅くなり、葉に含まれるテアニンの量が増えます。
 そのため、覆いをするとお茶が「まろやかな旨みを持った味」になります。
 さらに、茶の葉は覆いをして日光を遮断しても黄色くなったり白っぽくなったりせず、かえって葉緑素の量を増やして葉の色の緑が濃くなり、葉の表面の光沢を増し、葉の大きさははやや大きめになり、厚さは薄くなり、質は柔らかくなるなど、茶の品質が向上します。
by wheatbaku | 2014-04-30 11:06 | 江戸の食文化

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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