巣鴨食文化で訪問した老舗については、大部分、このブログで紹介しているのですが、「亀の子束子(たわし)西尾商店」については、まだ紹介していませんでした。
そこで、参加されたSさんからぜひブログに書いてほしいというお話をいただきましたので、今日は、「亀の子束子(たわし)西尾商店」をご案内します。
皆さん、亀の子束子(たわし)はご存知だと思います。
その亀の子束子を作っているのが、「株式会社亀の子束子西尾商店」です。
旧中山道沿いにある大正風の建物の会社です。
JR板橋駅からは8分程度、都営三田線西巣鴨駅からは5分のところにあります。
「亀の子束子西尾商店」は、明治40年に創業した老舗です。
西尾商店の初代社長西尾正左衛門が東京本郷真砂町にて棕櫚(しゅろ)製の亀の子束子を発明しました。
西尾正左衛門の奥さんがマット用に棕櫚(しゅろ)を棒状に編んだものを二つに折って掃除しているのを見て、亀の子束子を考案したそうです。
「亀の子」という名前は、形が亀に似ていること、水に縁があること、亀は長寿で縁起がいいことから命名されたそうです。
そして明治41年に実用新案と商標登録をあわせて取得しました。
当時の亀の子束子が店内に展示されています。右上写真の左が当時のものです。
関東大震災で、本郷真砂町の事業所は壊れてしまいましたが、滝野川は大丈夫であったため滝野川に移転し、以後、現在まで、滝野川で営業を続けています。
現在は、パームやしの繊維を利用して亀の子束子を製造しているそうですが、亀の子束子の製造は、すべて手作業だそうです。
材料となるパームの繊維を均一に巻き込むのは、微妙な締め付け加減があり、機械ではできないそうです。
巣鴨食文化散歩に御一緒した江戸検協会のUさんは、西尾商店で、実際に束子の製造を体験したそうですが、 パームの繊維をまくのが非常に難しかったと教えていただきました。
「亀の子束子西尾商店」は、土曜日・日曜日は休業ですので、巣鴨食文化散歩の際には、外観しかご案内できませんでした。
平日にお邪魔すると店内には、明治40年当時の束子から現在のまでの束子の現物が展示されていました。
また、束子のできるまでの様子も説明されています。
もちろん、亀の子束子も販売されています。
亀の子束子がずらりと並んでつりさげられているのは壮観でした。
また、「亀の子束子」という言葉が広辞苑にのっているということも、教えていただきました。
商品名が、普通名詞になるなんてすごいですね。
Sさん、「亀の子束子西尾商店」を尋ねるのは、平日がよろしいと思います。
ぜひお出かけください。
赤印が「亀の子束子西尾商店」です。