銀座三河屋さんは、銀座八丁目の金春通りに面してお店があります。
「銀座三河屋」さんには、伊丹の酒メーカー小西酒造が生産している「江戸元禄の酒」を購入するためにお邪魔しました。
原田信男先生の「江戸の食文化」の109ページに「伊丹の酒メーカー小西酒造では、杜氏の覚書から江戸時代の酒を再現している」と書かれているため、それをインターネットで検索していき、「銀座三河屋」さんで販売していることを知ったため、購入に行きました。
銀座三河屋さんは、元禄時代三河の国より江戸の上がり汐留(現在の新橋駅近く)に移り、酒商を営んだ後、油屋に商売がえし、さらに、 江戸時代後期には、日本古来よりの手芸品や絽刺を徳川家や諸大名に納め御用商人として繁盛したそうです。
明治6年になって、銀座8丁目8番3号(現在の資生堂パーラー)に移り営業を続け、その後、各地のデパートにも出店し、大いに繁盛したそうです。
そして、平成2年には、金春通りに移転し和装小物の店「銀座・三河屋」を営業していましたが、平成15年に「江戸の食(スローフード)『銀座・三河屋』」新規開店しました。
7代目の神谷社長さんのお話では、和装小物の店から「江戸の食(スローフード)」に業種変更されたのは、時代の変化に対応しようとされたためだそうです。
「江戸の食(スローフード)」に転換してから、最初に商品開発されたのが、「煎(い)り酒」です。
「煎り酒」というのは、現在は、あまり知られていませんが、江戸時代に用いられていた日本の古い調味料です。
それは、日本酒に梅干とかつおを入れて煮詰めたもので、酸味と塩味と旨味を合せもつ万能調味料です。
これを、なべ家主人の福田浩様のアドバイスを受けながら、銀座三河屋さんで、独自に商品開発されたものだそうです。現在の商品が完成するまで半年かかったそうです。
紀州南高梅の梅酢を使用していて、塩分は一般的な醤油よりも 少なく、まろやかでヘルシーな調味料に仕立てたとのことでした。
現在は、野田の醤油メーカー「キノエネ醤油」さんに製造を委託されているそうです。
さて、「江戸元禄の酒」ですが、これは伊丹の小西酒造を創業した小西家に今もなお残されている 元禄時代の酒造りを記録した秘伝書「酒永代覚帖」の中で、最も古い元禄15年(1702)の記録に従って再現されたお酒です。
この酒が、「銀座三河屋」さんで取り扱われるようになったのは、神谷社長さんが新聞の記事を見て、小西酒造に取扱いのお願いをしたことから始まったそうです。
元禄の酒は、現代の造りと比較して、仕込水は半分ほどしか使用されていないことと精米技術が今ほど発達していなかったため、玄米に近い精米となることにより、味は濃厚な口当たりとなり、色は奇麗な琥珀色をしています。
銀座三河屋さんでは、試飲もさせてくださいます。
右下写真が、「元禄の酒」ですが、まさにキャッチコピーの通りの琥珀色をしています。
また飲んでみると、まさに甘口で濃厚な味でした。
「元禄の酒」を購入し、第2回目の「食文化講座」で、受講者の皆さんにも試飲をしていただきました。
江戸時代の酒はどんな味がするのか興味津々で試飲をしていました。
その時の感想では、お酒の好きな男性方からは、最近のお酒は、すっきりした辛口のお酒に親しんでいることもあり、「みりんのような味だ」と言った感想でした。
お酒をあまり飲まないご婦人方からは、「甘いので飲みやすい」と言った感想がありました。
私は、最近は日本酒は飲まないのですが、ロックにして飲むとおいしいのではないかと思いました。
神谷社長さんのお話では、現在では、「江戸元禄の酒」の取り扱いしている店舗の中では、トップクラスの売り上げをあげているそうです。
身近で購入できますので、江戸時代の酒がどんな味がするか味わうのもよろしいかと思いますので、「銀座三河屋」に足を運んでみてはいかがでしょうか。
銀座三河屋さんでは、愛知の桝塚味噌で木桶でつくられた「とろみそ」なども販売されています。(右写真)
「とろみそ」というの、まぐろのとろのようにおいしいみそと言う意味で命名されたみそだそうです。
「銀座三河屋」さんの場所は、下図の通りです。
私がお邪魔した時には、神谷社長さんは御不在でしたが、その後、電話でいろいろお教えいただきました。
神谷社長さんは、江戸文化歴史検定2級もとられていらっしゃるとのことで江戸にも大変憧憬の深いこともあって、大変親切にご対応いただきました。
紙上をお借りして神谷社長さんに御礼申し上げます。ありがとうございました。
赤印が「銀座三河屋」さんです。JR新橋駅銀座口から4分、東京メトロ銀座駅A2番出口から6分です。