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夜鷹そば(そば③ 江戸の食文化79)
今日は、「そば」のお話で、「夜鷹そば」について書きます。

 「夜鷹」というのは、皆さん、ご存知だと思いますが、「夜鷹」というのは、江戸時代、夜間に路傍で客を引き売春した街娼を言います。
「夜鷹」は、江戸の呼び名で、京都では「辻君」、大坂では「惣嫁(そうか)」と呼びました。

夜鷹そば(そば③ 江戸の食文化79)_c0187004_923442.jpg 街頭で夜中に売り歩くそば、つまり「夜そば売り」が「夜鷹そば」と呼ばれましたが、「夜そば売り」が、いつごろから「夜鷹そば」と呼ばれるようになったかははっきりしません。

 しかし、宝暦三年(1753)の越智久為著『反古染(ほうぐぞめ)』に、「元文のころより夜鷹蕎麦切、其後手打蕎麦切、大平盛り、宝暦の頃風鈴蕎麦切品々出る」と書かれていますので、元文の頃には、夜鷹そばと呼ばれていたようです。

夜鷹そばの由来については諸説まちまちです。
もっともポピュラーなのが、夜鷹相手に商売したからと「夜鷹そば」という名前がついたという話です。
『守貞漫稿』は、この説をとっています。
 「江戸にては、夜鷹蕎麦と云う。夜たかは土妓の名、かの徒、専らこれを食すによる。」
と書いています。

 その他、新島繁博士の中公文庫「蕎麦の事典」には次の二つ説が書いてあります。
 「夜鷹には「二十四文」の異名があって二四文が相場だったが、最下等の夜鷹が十文で買えたことから「十文」と称し、それから転じて十文売りの夜そばを夜鷹そばといったとの説もある。」 
 それに続いて、次のように書いてあります。
 「これに対し、落語家の三遊亭円朝は『月謡荻江一節(つきにうたうおぎえのひとふし) -荻江露友伝』のなかで、「夜鷹そばは夜鷹が食うからではない。お鷹匠の拳(こぶし)の冷えるのに手焙(てあぶ)りを供するため、享保年間(1716~36)往来に出て手当てを致し、其簾(そのかど)を以て蕎麦屋甚兵衛という者が願って出て、お許しになったので夜鷹そばというがナ。夜お鷹匠の手を焙るお鷹そばというのだ」と語り、お鷹そばが転訛して夜鷹そばになったという説である。」

 私の個人的な素人考えですが、後説は、なるほど、そういうこともあるかと感じますが、前説は、納得感が薄いように感じます。
 岩波書店刊「蕎麦 江戸の食文化」では、著者の笠井俊彌氏は、夜鷹そばの由来として、街娼の「夜鷹」からという説と「お鷹そば」に由来するという説の二説があるとだけ書いていて、「夜鷹の相場」に由来するという説については触れていませんでした。

 ところで、天保2年(1831)の川柳に次のようなものがあります。

 客二つ つふして夜鷹 三つ喰う

 これは、夜鷹が二人の客の相手をして、その金で「夜鷹そば」を三つ喰ったいうことです。
前述したように、夜鷹の相場は一人24文ですので、二人を相手にすると24文×2人で48文になります。そばは16文ですので、48文あればちょうど3杯食べられました。
前記の川柳はこのことを詠んでいるようです。
by wheatbaku | 2014-09-02 09:18

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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