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いせ源 (江戸の老舗)
一昨日は江戸検でした。
 結構難しい問題が多かったようですね。受検された皆様本当にお疲れ様でした。
 大勢の皆様から、結果についてのご連絡いただきました。
 結果は、悲喜こもごものようですが、この間、受検された皆様全員が頑張ってこられたのですから、この間の頑張りに、本当に敬意を表します。

 さて、文京学院大学生涯学習センターの神田散歩で訪ねた「いせ源」さんでは、あんこうの吊るし切りを見させていただきました。
 これが大変好評でしたので、今日は、「いせ源」さんについて詳しく紹介しようと思います。

 いせ源さんは、東京メトロ淡路町駅A3番出口から徒歩2分の距離にあります。
 この近辺は現在は須田町ですが、昔は連雀町といわれた町です。
 ここには、「いせ源」さんをはじめ「まつや」「たけむら」「かんだやぶそば」など昔ながらの情緒を漂わせている老舗が目白押しです。
いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_9581539.jpg その中で、江戸時代に創業したの「いせ源」さんだけです。
 「いせ源」さんは、天保元年(1830)に、中橋広小路(現在の京橋三丁目付近)で初代にあたる立川庄蔵が「いせ庄」というどじょう屋を始めました。
 その後、2代目立川源四郎が店を中橋広小路から神田連雀町に移し、店名も「いせ庄」の「いせ」と「源四郎」の「源」を合わせ、「いせ源」と改名したそうです。
 当時はあんこう鍋の他にも、よせ鍋、かき鍋、白魚鍋、ねぎま鍋等々、様々な鍋料理を提供していたようです。
 しかし、あんこう鍋に人気が集中するようになり、大正時代の4代目立川政蔵の時にあんこう料理専門の店となりました。
 「いせ源」さんの建物は、大正12年の関東大震災によって全焼した後、昭和5年に建てられたもので、 東京都選定歴史的建造物に選定されています。

 神田散歩の時に、あんこうの吊るし切りをみせてくださったのは7代目ご主人です。
 まだお若く、「若旦那」という呼び名がぴったりです。
いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_9584386.jpg あんこうについての解説もしていただきました。
 あんこうは300種類ぐらいいるそうですが、あんこう鍋に使われるものは「キアンコウ」という種類だそうです。
 キアンコウで食用になるのは主にメスで、アンコウのメスはオスよりも早く成長し体が大きいようです。
 先日見させていただいたアンコウは青森で水揚げされたものだそうです。
 あんこうを捕るには、底引網と刺し網があるそうです。底曳網では、多種の魚が一網打尽に捕獲されますが、刺し網で捕る場合は、網の大きさより小さい魚は捕獲されません。
いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_959168.jpg そのため、自然保護の観点からは刺し網の方がよいそうです。
 「いせ源」さんでは、刺し網で捕獲されたあんこうを利用するようにしているそうです。
 解説の後、吊るし切りを実演していただきました。
 あんこうを吊るし切りするには5分程度で調理できるそうですが、当日は、お話をしながらですので25分程度かかりました。
 解説も詳しく、包丁さばきも見事でした。
 しかも、参加者から随時出される質問にも丁寧に答えていただきました。
 参加者の皆さんは大満足でした。
 7代目ご主人様ありがとうございました。また、御手配していただいた女将さんありがとうございました。

 神田散歩にご参加いただいた お気楽マダムさん が、吊るし切りの様子を動画に編集してくださいました。
 吊るし切りの様子もわかりますし、若旦那の説明も取り込まれています。ぜひご覧ください。





いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_100321.jpg 「いせ源」さんには、ご案内する前にお邪魔して、「あんこう鍋」を食べて写真に撮ってありますので、その様子も紹介します。
 「いせ源」さんは、2階が入れ込みの座敷となっていて、そこであんこう鍋を食べることができます。
 私たちが選んだ窓際のテーブルは、映画監督の小津監督がいつも座って食したテーブルとのことでした。 
 あんこう鍋を注文するとほどなく運ばれてきました。
いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_1005663.jpg 基本的にあんこうは腸と精巣以外のすべての部位が食べられるとのことで、あんこうの具材と野菜が並べられ、割り下が入った鍋でした。
 しばらくすると煮立ってきました。ガスの火を弱めて食べてみると醤油味でした。
 あんこう鍋には味噌味もあるそうですが、「いせ源」さんでは醤油味で調理しているとのことでした。
 あんこうの味はおいしくて、部位によってちがう食感が楽しめて大変すばらしかったです。
 あんこう鍋を食べ終わると、「おじや」をどうするかとの質問がありましたので、迷わずオーダーしました。
 あんこうの味がたっぷり染み込んだ「おじや」も最高の味でした。

いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_9595391.jpg 2階の座敷には、絵が数多く掲示されています。
 よく見るとサインしたものがありますので、誰が描いたのかわかります。br> 右写真の絵には春陽会のサインがありました。
 春陽会の人々が寄せ書きした絵のようです。
 中川一政画伯のサインのある絵もありました。


いせ源 (江戸の老舗)_c0187004_1001427.jpg 最後に店の入り口に掲げられている看板のご紹介です。
 入り口の看板には、右から「先客万来」と刻まれています。
 この看板の板は、ふな虫に食べさせたものだそうです。
 多くのお客さんに食べてもらいたいという願いを込められているそうです。
 上品な洒落が効いて、なるほどと感心しました。
 昭和5年の新築時以来掲げられている看板とのことです。


 あんこうはこれからがシーズンです。
 「いせ源」さんであんこう鍋をたべてみてはいかがでしょうか。必ず満足すると思います。
 
 なお、「いせ源」さんでは、夏場もあんあこう鍋をやっているそうです。


 赤印が「いせ源」さんです。最寄駅は東京メトロ丸の内線「淡路町駅」ですが、JR山の手線の「神田駅」からもそう遠くはありません。

by wheatbaku | 2014-11-04 09:32 | 江戸の老舗

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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