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江戸検一級「江戸の食文化」問題解説②
 今日も江戸検一級の「江戸の食文化」の問題について解説します。
 今日は、8問から14問までについて解説します。

8、「江戸自慢」に「上方の及ぶ所にあらず、価も安し」と書かれている江戸で人気の食べ物は何か?(上級レベル)

 この正解は「鮓」ですが、難問だと思います。
 これは、「江戸自慢」という本がメジャーではありませんので、名前さえ初めて聞くという人が多いと思います。
 従って、この問題は、難問のなかでも超難問のレベルだと思います。
「江戸自慢」は、紀州藩の付家老水野土佐守の侍医原田何某が書いた江戸で見聞したことを本国と比較した書いたもので、写ししか残っていないようです。また、何某と書かれているので書いた人物の名前は不明です。
 鮓の部分は、
 「鮓は握りて、押したるは一切なし。調味よし、上方の及ぶ所にあらず、価も賤し」と書かれています。

9、「初松魚(  )がなくて涙かな」に入る鰹の薬味として使われた香辛料は何か?(中級レベル)

 答えは「辛子」です。
 「江戸の食文化」150ページに「江戸時代は辛子で鰹を食べていた」と書かれています。そのため、初級レベルともいえます。
 しかし、辛子が鰹の薬味として使用されたということを知っていても、英一蝶と宝井其角のやりとりを御存知ない方は、その説明がされているため却って答えを迷われたかもしれません。
 そこで中級レベルとしました。

10、「料理物語」の中の「獣之部」に記載されていない動物はどれか?(上級レベル)

江戸検一級「江戸の食文化」問題解説②_c0187004_9234821.png これも難問ですね。
 選択肢には「犬」「川獺(かわうそ)」「狐」「狸」がありますが、正解は「狐」です。
 この問題は「料理物語」を読んでいないと難しいと思います。
 手身近のものとしては、教育社新書の「料理物語」がありますので、時間があったら確認してみてください。
 それによると、「料理物語」の第五の「獣の部」に書かれているものは、次の七種類です。
 鹿、狸、猪、莵(うさぎ)、川獺(かわうそ)、熊、犬
 従って、正解は、前述した通り「狐」ということになります。

 この問題は難問ですが、勉強になる良い問題だと思います。
 まず、料理物語が発刊されたのは寛永20年ですので、江戸時代前期には、獣肉を食べることが、そんなに珍しくなかったということがわかります。
 また、江戸時代には、犬を食べていたということがわかります。
 さらに今では絶滅してしまった川獺が食材になるほど生存していただろうということもわかります。
 こうしたことが勉強になります。そのため、これは難問ですが「江戸好き」の人には勉強材料になる良い問題だと思います。

11、仙台藩主伊達重村が鰈(かれい)の背中を食べて、会食相手に大名は白い部分しか食べないものだと指摘された際に何と回答したか?(上級レベル)

 正解は、仙台の鰈は両面が白いのでつい間違えた」です。
 この話は、「重村朝臣小伝」という本に書かれているエピソードのようです。
 「重村朝臣小伝」を探しましたが、埼玉県立図書館にもありませんでしたので、内容は確認できていません。
 こうした書物に書かれているという伊達重村のエピソードを知っている人はほとんどいないと思いますので超難問だと思います。

 余談ですが、伊達重村は、田沼意次が権勢を誇った時代の仙台藩主で、田沼意次が藩主であった相良町(現在は牧之原市)に、伊達重村が石垣材料を寄進したため仙台河岸と名付けられた史跡が現在も残されています。

12、「米沢のABC」と呼ばれる米沢市の特産品のCとは何か?(上級レベル)

 この問題の正解を事前に知っている人は極少数だと思いますので、これは難問だと思います。
 多くの人が、正解がわからない中で、選択肢から正解を選んだと思います。
 私も、全く知りませんので、消去法で正解を探しました。
 まず消去したのは、乳牛です。乳牛は明治以降に日本に入った動物だからです。
 次いでサクランボウです。山形のサクランボウは有名ですが、サクランボウは明治以降、日本に入ってきたものだからです。
 残ったのは、蟹か鯉ですが、消去したのは、蟹です。蟹は海の産物です。米沢藩は海なし藩ですので、蟹は無理だと考えました。その結果、鯉を選択し正解でした。
 「米沢のABC」については、下記のホームページに詳しく書かれていますので、そちらをご覧ください。
  米沢のABC

13、松平定信から雅号を授けられて店名とした老舗の和菓子屋は何か?(中級レベル)

 この正解は「風月堂」です。
江戸検一級「江戸の食文化」問題解説②_c0187004_92075.jpg これは、「江戸の食文化」179ページの「上野風月堂」の項目に、問題文の内容そのままが書かれています。
 従って「江戸の食文化」を良く読んでいる人には簡単に正解がわかったと思います。
 しかし、「江戸の食文化」の老舗の部分まで読んでいない人には、難問だったと思います。
 そこで、大甘で中級レベルとしました。
 「上野風月堂」については、以前お邪魔し、由来等を記事にしていますので、ご参考にお読みください。
  上野風月堂 (江戸からの和菓子)

 また、「上野風月堂」のホームページには、江戸検一級仲間の ほーりー もコラムを書いていますので、ご覧になってみてください。
  ほーりーが行く!暖簾越し お江戸の風景

14、「続飛鳥川」において「下魚にて、食するものなし。下々にては食す」と書かれている魚は何か? (上級レベル)

 正解は「秋刀魚」です。
 単純に「下魚の代表は何か」と質問すれば、多くの人は「秋刀魚」と正解するでしょうが、わざわざ「続飛鳥川」に書かれているコメントから出題しているので迷った人も多かったのではないでしょうか? そこで、上級レベルとしました。
 「続飛鳥川」という本は、名前の通り「飛鳥川」の続編です。
 「飛鳥川」は、旗本で奥祐筆などを勤めた柴村源左衛門が書いた風俗見聞記です。
 「続飛鳥川」に次のように書かれています。
 「塩魚にて、さんまは下魚にて、食するものなし、下々にては食す、寛政の頃より追々食料になり、客にも遣う様になり、価も高くなる。」
by wheatbaku | 2014-11-07 09:15 | 江戸の食文化

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
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