12月は、今週土曜日の「江戸検受検者交流の集い」はありますが、その他の大きなイベントがないので、今は、時代小説を中心に読みながらのんびりと「江戸」を楽しんでいます。
現在、主に読んでいるのは、「吉田松陰」が関係する時代小説です。
来年のNHKの大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹の「文(ふみ)」が主人公です。
そして、来年の前半の「気ままに江戸散歩」は、「吉田松陰ゆかりの地を歩く」というテーマで、江戸を散歩します。
そうしたこともあって、現在は吉田松陰関連の小説を読んでいるわけです
吉田松陰について書いた本として、最も有名なものは、司馬遼太郎の「世に棲(す)む日日」でしょう。
この本は、ずっと以前に読みました。
前編部分は吉田松陰を中心に描かれていて、後編部分は高杉晋作を中心に描かれています。

司馬遼太郎は、冒頭部分で次のようにいっています。
長州藩が、幕末の最大の革命勢力となり、ついに幕府をたおし、新しい時代をまねきよせる主導勢力となったのは、吉田松陰が、長州藩を変えたからである。
しかし、吉田松陰は、藩の行政者でもなく、藩主の相談役でもなく、ないどころから、松下村塾の当時の吉田 松陰は、27・8歳の書生に過ぎず、しかも藩の罪人であり、実家に禁固されており、外出の自由すらなかった。
こういう若者が地上に存在したということ自体が奇跡に類する不思議さというよりほかない。
その不思議な若者の不思議さを、筆者はこの小説で考えてゆこうとするのだが、主人公はあるいはこの寅次郎だけではすまないかもしれない。むしろ彼が愛した高杉晋作という九つ下の若者が主人公であるほうが望ましいかもしれず、その気持ちがいまは筆者のなかで日ごとに濃厚になっており、いまとなってはその気持ちのまま書く。
こうしたことから司馬遼太郎は、「世に棲む日日」の主人公を吉田松陰と高杉晋作としているようです。
吉田松陰と高杉晋作について書いた小説として、「世に棲む日日」は大変おもしろい小説でしたが、私個人にとっては、特に印象深い小説でもあります。
江戸文化歴史検定の一級試験が行われたのは、2007年に実施された第2回江戸文化歴史検定でした。
その一級の問題に次のような問題がありました。
慶応3年4月14日、29歳で下関に没した幕末の志士、高杉晋作の辞世の句は次のうちどれでしょうか?
(い)身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも、どどめ置かまし 大和魂
(ろ)おもしろき こともないき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり
(は)世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞ知る
(に)君が為め 尽くす心は 水の泡 消えにし後は 澄みわたる空
この答えは、おわかりになりますか?
高杉晋作の辞世の句(短歌)は、
おもしろき こともないき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり
です。
私は、この問題の正解は、すぐにわかりました。
というのは、「世に棲む日日」を読んでいて、その最終場面が、ちょうど高杉晋作の臨終場面で、そこに辞世の句を読む場面がでてきますが、そのことをよく覚えていたので、答えがすぐにわかったのです。
こうしたことから、「世に棲む日日」は、私にとって非常に記憶に残る小説の一つとなっています。
私が読んだのは、単行本でしたが、現在は文庫のみ出版されているようです。

