神田明神で神田祭についてお勉強した後は、湯島聖堂や御茶ノ水周辺の史跡を木下栄三さんと分担してご案内させていただく予定です。
その際に、私は小栗上野介の生誕地等をご案内する予定です。
その準備のため、日曜日に、小栗上野介の菩提寺の東善寺がある高崎市倉渕町に行ってきました。
倉渕町は、埼玉より少し寒いと見えて、ちょうど桜が満開でした。
先日、墨堤で満開の花見を楽しんだので、今年は、満開の桜を2度楽しむことができました。
小栗上野介の菩提寺である東善寺には、事前に御住職がいらっしゃるかどうか尋ねてからお邪魔しました。
というのは、東善寺の御住職村上 泰賢様は、小栗上野介の研究の泰斗で、「小栗忠順のすべて」(新人物往来社)をはじめ多くの小栗上野介に関する本を書かれていますので、是非お会いしたいと思っていたからです。
9時過ぎにお邪魔しましたが、御住職は、いらっしゃってくださいました。
境内内の拝観はご自由にということですので、お墓にお参りさせていただいた後、小栗上野介について、お話を伺いました。
御住職は、小栗上野介がアメリカに派遣された際にアメリカに大歓迎された様子やワシントン海軍造船所で大きな刺激を受けたということ、その見聞に基づき小栗上野介が横須賀造船所を築いたこと、富岡製紙場は横須賀造船所の技術を導入して建設されたこと、しかし、小栗上野介の功績が広く知られていなくて残念に思うということなどを熱くお話いだだきました。
訪ねたのが日曜日でもあり、法事があったり、次々と小栗上野介のお墓を訪ねてくる拝観者の対応もあり大変お忙しい中でのお話でした。
小栗上野介を尊敬する方がブラジルからはるばるグループで来られたことから、その方々のご対応という事で、御住職のお話が終わりとなりましたが、30分近くお話を伺うことができました。
御住職は、広く深い知識をお持ちで、また小栗上野介顕彰についての熱意も一方ならないことを感じ、大変感銘しました。
御住職は「小栗上野介-忘れられた悲劇の幕臣 」(平凡社新書)という本も書かれていますが、本を事前に購入して読んでいたのでサインをしていただきました。
村上御住職様、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
そして御住職の奥様にもご親切に対応していただきました。ありがとうございました。
境内には、小栗上野介のお墓があります。
小栗上野介は、慶応4年(1868)閏4月4日、小栗は新政府軍により東善寺にいるところを捕縛され、閏4月6日、取り調べもされずに、烏川の水沼河原で家臣たちととも斬首されました。
そして、小栗上野介の子供である小栗又一も、護送監禁されていた高崎藩で、翌日閏4月7日に斬首されました。
東善寺の墓域には、小栗上野介、小栗又一のお墓を始め、家臣たちなど関係者のお墓があります。
右写真の中央下のお墓が小栗上野介のお墓、左隣は小栗又一のお墓です。
ちょうど小栗椿と呼ばれる椿が満開でした。
この椿は、上野介父子が殺されたあと、江戸から届いた江戸からの引越荷物のなかにあった「鉢植えの椿」を、小栗家旧領地下斉田村(高崎市)の名主が、いったん買い取った後、明治初年に墓のそばに植えたものだそうです。
小栗上野介が愛でていた椿は、「崑崙黒(こんろんこく)」という黒椿の名花だそうです。
小栗上野介は、倉渕町の水沼河原で斬首されました。
その斬首された場所には、「偉人小栗上野介 罪なくして 此処に斬らる」と刻まれた顕彰慰霊碑が建てられています。
昭和7年地元の有志等によって建てられたものです。
顕彰碑建立当時、碑文の「罪なくして」という語句が問題になりましたが、村人たちの願いが通り、この語句のまま、建立されたという逸話が残っているそうです。
倉渕町には、道の駅があります。
この道の駅は 「くらぶち 小栗の里」と名付けられていて、「小栗」という名前が使用されていることに、小栗上野介に対する思い入れが感じられます。
この道の駅には、地元の物産を販売するコナーや食事処などがあります。
その一画に小栗上野介を紹介する展示物がありました。
これは、屏風形式でもって、小栗上野介の業績を紹介するものでした。
東善寺の御住職ご夫妻は、小栗上野介を「小栗様」と呼ばれていましたが、ご夫婦を始め、倉渕町全体が小栗上野介を顕彰し広く知らしめようと考えていることが感じられました。
小栗上野介の業績と経歴については、もう少し取材を重ねて、5月には連載で詳しくブログにアップしようと思っています。
東善寺での拝観が終わったのは12時近くでした。
小栗の里での、お昼ご飯は、東善寺の御住職の奥様からご紹介をいただいた「満寿池」の「ます重」を食べてきました。
「満寿池」は、草津街道沿いにあるお店で、釣り堀もあります。
「ます重」は、さんまの蒲焼きをヒントに考案されたニジマス料理だそうです。
注文すると、お店の裏庭にある養殖池からニジマスを捕って調理をしてくれました。
「ます重」は、見た目には、うな重のように見えますが、うな重よりあっさりしていて、その身は柔らかですが、サクッとした歯ごたえがありました。
甘味のあるタレもかかっていて、おいしくいただきました。タレは秘伝だそうです。
天気も良く、御住職のお話もすばらしく、ご夫妻の御対応も親切で、桜や小栗椿が満開で、「ます重」もおいしいという、良いことづくめの「小栗の里」訪問でした。