昨日に続いて、今日も端午の節句の話題です。
昨日書いたように東都歳事記には
五月五日 端午御祝儀、諸侯登城。粽(ちまき)献上あり。貴賤、佳節を祝す(家々軒場に菖蒲(しょうぶ)・蓬(よもぎ)をふく。菖蒲酒を飲み、また、粽・柏餅を製す、小児、菖蒲打ちの戯れをなす。
と書いてあります。
粽・柏餅については昨日書きましたので、今日は、菖蒲について書いてみます。
菖蒲と端午の節句についてわかりやすくまとめてあるのが、「東京年中行事」だと思います。次のように書いてありました。
菖蒲と端午とは又離るべからざる関係をもったものである。昔は火災を避くる呪いになると言って、これが一茎二茎ずつに蓬(よもぎ)を添えて、軒の周囲に一、二尺ずつ隔てて差したものである。関西地方にては今猶この日に蓬を添えた菖蒲を屋根に投げ上げて置く習慣ある所あれど、現時東京にてはほとんどこの習慣を眼にせぬ。
江戸時代には、菖蒲湯と言って、菖蒲を浴槽の中に入れて五日・六日の両日入浴したものであるが、現今東京の銭湯にてはそれが四日・五日の両日に限って行われておる。
その他昔は菖蒲の根七茎を採り、長さ一寸ぐらいにして酒の中に漬(ひた)して、菖蒲酒と言って飲んだり、女はこれを頭にかざしたり、または子供は冑に作って弄(もてあそ)んだり、或は枕の下に敷いて寝たり、或は菖蒲たたき、菖蒲切り、又は印地打(いんじうち)と言って、児童等は菖蒲で刀を作って互いに打ち合い(後略)
「東都歳事記」には、「菖蒲・蓬をふく」「菖蒲酒」「菖蒲打ち」について書いてあり、「東京年中行事」には、そのほか、「菖蒲湯」「菖蒲刀」についても書いてあります。
これらについて、順に説明していきます。
菖蒲はサトイモ科の植物です。
現在は、「花ショウブ」があるため「菖蒲」というと「花ショウブ」を思い浮かべる人が多いと思いますが、「花ショウブ」はアヤメ科の植物で、名前は似ているものの、全く別の種類です。
右の菖蒲の写真は「季節の花 300」さんの画像を転載させていただきました。
菖蒲の呼び名が「尚武」と音が同じであるため、江戸時代以降、「端午の節句」が男子の節句として盛んになりました。
菖蒲葺く
東都歳時記には、「菖蒲・蓬をふく」とだけ書いてありますが、「東京年中行事」によれば、菖蒲は水辺に生える植物で火を避けることができると信じられていたため、屋根を葺いたたと書いてあります。
また、菖蒲は芳香が強いため、これにより災いを防ぐことを期待して軒に葺くと書いてある本もあります。
菖蒲葺きの写真は「季節の花 300」から転載させていただきました。
畠山記念館で撮った写真のようです。
菖蒲酒
菖蒲酒というのは、菖蒲の根をお酒に浸して飲むものですが、菖蒲は、その根茎に精油が含まれています。
現在も菖蒲の根は漢方薬の「菖蒲根」として利用されていて、鎮痛、去痰(きょたん)、血圧降下作用があって、慢性の消化不良、胃炎、腹痛、せきなどの症状に用いられているようです。
そうした効用があるため、菖蒲酒として飲まれました。
菖蒲酒を詠んだ次のような川柳があります。
勇を奮って 乳母も飲む 菖蒲酒
酒の飲めない乳母が、子供の無事の成長を願って、思い切って菖蒲酒を飲む様子を詠んだように思えます。
菖蒲湯
菖蒲湯は、現在も行われている風習ですが、菖蒲の葉は強い香を持っていますが、この香が厄や疫病を追い払う効用があると信じられています。
この香の元は、根の成分と同じ精油のようです。
と書いて、精油ってなんだろうと思いましたので、インタネットで検索すると「植物から抽出される揮発性の芳香物質で、『エッセンシャルオイル』ともいいます」と書いてありました。
これであれば、わかります。
また、菖蒲湯は、打ち身、腰痛、肩こりにも効くと書いてある本もあります。
なるほど、香だけでなく、実際に健康のためにもいいんですね。
明日は、菖蒲湯に絶対入りましょう。
スーパーで菖蒲の葉を売っていましたので買ってきました。
菖蒲打ち
菖蒲打ちというは、子供たちの遊びで、菖蒲の葉を編んで縄状にし、地面にたたきつけて大きな音の出たものを勝ち、または切れたほうを負けとしました。
菖蒲打ちは、現在はほとんど消えてしまったように思います。
菖蒲刀
菖蒲刀について、「守貞謾稿」に説明されていますので、紹介しておきます。
端午の飾刀にて、親族出生の男子等にこれを送る。木刀なり。金銀紙等でこれを飾る。
へぇー、菖蒲刀と言うので、菖蒲の葉っぱで刀を作ったのかと思いましたが、菖蒲ではなく、木刀なんですね。


