今日は七夕です。
七夕の飾り物というと、現在は、笹竹飾りが中心です。
しかし、七夕は、中国の習俗「乞巧奠」に由来しています。
この「乞巧奠」は、主に平安時代に宮中で行われた行事です。
江戸時でも、守貞謾稿には、後記のように書かれていて、「乞巧奠」については、詳しく書かれていませんので、あまり行われていなかったものと思われます。
その「乞巧奠」のかざりが、杉並の大宮八幡宮に飾られているので、昨日、行ってみてきました。
大宮八幡宮は、京王・井の頭線「西永福駅」下車して徒歩で7分ほどの距離にあります。
大宮八幡宮は、平安時代に、後三年の役で勝利した源頼義により創建され、御鎮座950年余りとなる大変由緒ある神社です。
東京都の天然記念物に指定されているうっそうとした森にかこまれた荘厳な神社です。
「乞巧奠」は、南参道脇の「清涼殿」の玄関飾られています。
「乞巧奠」は、京都の冷泉家では、現在まで、連綿としてお飾りされているようですが、関東では、大宮八幡宮だけだと思われます。
今日は7月7日で「七夕」ですが、7月15日まで飾られていますので、お近くの方は、ご覧になるとよろしいかと思います。
特に江戸検を受検される方は、一度見られることをお勧めします。
大宮八幡宮の「乞巧奠」は、平成10年に天皇在位10年をお祝いして飾られたそうで、ことしで17回目になります。
「乞巧奠」は、女性が、技芸の向上をお祈りするお祭りですので、和琴・琵琶・笙(しょう)・ひちり・竜笛など楽器類が飾られています。(右三段目写真)
楽器の腕前が向上するようにという願いが込められているわけですね。
そして、奥には五色(赤・青・黄・白・黒)の糸や紙そして筆・硯などがお飾りされています。その手前には、小豆・大豆・茄子・桃などの農産物もお飾りされています。(右四段目写真)
そして、周囲には、笹竹が立てられていて、そこには、人形(ひとかた)や梶の葉などが飾られています。
ところで、梶の葉という葉を御存知ですか?
江戸検1級を受けられる方は、最重要単語ですので、絶対覚えましょう。
「梶の葉」は、クワ科の植物です。織姫が「梶の葉姫」と呼ばれたことから、梶の葉に願い事を書いて笹竹につるすという風習が起こりました。
その梶の葉が、現在は短冊にかわっているのです。
「乞巧奠」の笹竹には、「梶の葉」が吊るされていました。しかも願い事が書かれています。
「梶の葉」は15センチもある大きな葉っぱですので、筆でも十分に文字を書くことができます。
「梶の葉」の現物が見られただけでも十分満足です。
最後に、守貞謾稿の七夕の項を参考に書いておきます。
七月七日
今夜を七夕と云ふ(たなばたと訓ず。五節の一なり)孝謙天皇天平勝宝七年七月七日、始めて乞巧奠を設くる。
今世、大坂にては、(以下、大坂での様子が書かれているが、中略)
江戸にては、児ある家もなき屋も、貧富大小の差別なく、毎戸必ず青竹に短冊・色紙を付して、高く屋上に建つること、大坂の四月八日の花のごとし。
しかも種々の造りものを付するもあり。もつとも色紙・短尺は、ともに半紙のの染紙なり。
かくのごとく、江戸にてこのことの盛んなる、および雛祭の昌なるは、市中の婦女、多く大名に奉公せし者どもにて、とかくに大名奥の真似をなし、女に係る式は盛んなるなり。女式は昌なり。
作り物、昔は家々自造して興とす。今は、ほゝづき形、帳面の形、西瓜を切りたる形、筆形等、また机の引き出しより灸の出たる形など売る。しかれども、稀に自作して種々の形を付するもの、往々これあり。作り物、多くは竹骨を用ひ、紙を張る。梶葉、くゝり猿、瓢等は、紙にて切りたるのみ。
作り物は全形を模す。

