守貞謾稿では、富くじの当選規程について詳しく書いていますので、それについて説明します。
守貞謾稿では、次のように書かれています。
初一番錐の札には三百両、毎五番には十両、毎十番には二十両、五十番には二百両、百番突き畢り(おわり)の錐札には千両、以上二十一錐を節と云い、これを除きて二番より九十九番に至る間錐を平と云う。平錐七十九錐の札には金三両を与うなどの類なり。
富くじの当選を決めるには、100回、錐で木札を突きます。
その当選金は次のようになります。
1番 300両
2番~4番 3両程度
5番 10両
6番~9番 3両程度
10番 20両
以下49番までと51番から99番まで、同様に繰り返します。
そして50番目が200両となり、最後の100番目の突き畢(おわ)りが千両となります。
突き畢りは突留(つきどめ)とも呼ばれます。
きりのよい、5番と10番、さらに1番と100番の錐は「節」と呼ばれます。
それ以外の79個の錐は「平」と呼ばれます。
これが当選賞金の基本ですが、これ以外の当選もあります。
それについても守貞謾稿に書いてあります。
またあるいは両袖附と号して、初錐より百番の突き畢りに至る毎札、前後の番に少金を与うもあり。
(中略)
また記し違いと云うあり。紙札上の松竹梅等異(ちがい)にて、番数同じき者に少金を与うこと同前。
あるいは、袖も記し違い、甲子違い等、さらにこれなきもあり。突き畢りを突き止めと云う。
一番錐から百番錐の当選札の前後の番号の札にもいくらかの賞金があたりました。
この当選番号の前後賞は「両袖附」と呼ばれました。
また、組違賞もあり、組違賞は「記し違い」と呼ばれました。
さらに、「袖に記し違い」と書いてあるのは、前後賞の組が違う札も当選としたのでしょう。
「甲子違い」というなどういうものが不明です。
富くじの当選規定も、時代を追うに従って、だんだん複雑なものになっていったようです。