9月9日は、いうまでもなく重陽の節句です。
中国では、奇数が陽数とされ、9は最大の陽数であり、それが重なることから「重陽」と呼ばれ「重九」ともいわれました。
この日は、東都歳事記によれば
九月九日
〇重陽御祝儀 諸侯(花色小袖)御登城。良賤佳節を祝す。菊花酒をもって節物とす。
と書かれています。
重陽の節句は、五節句の一つとして、江戸にいる諸大名は、江戸城に総登城し祝賀しました。そして、菊酒を飲んで祝いました。
ここまでは、多くの人に知られたことです。
こうした諸大名の祝賀とともに武家や一般庶民の子供たちが、文武の師匠、そして手習や琴・三味線などの遊芸の師匠のところに出向いてお祝いを述べました。
このことが、「絵本江戸風俗往来」に書かれています。このことはあまり知られていないようですので、書いておきます。
下々にても当日は、男女の児子(ちご)達、時服を粧ひ、武家にあっては読書・手跡・弓馬・槍剣の師の許に祝賀に行き、町方にては手跡・算盤の師、女子は手跡より糸竹の師の許へ行き、儀式を行ふ。
また、9月9日は、「おくんち」や「くんち」とも呼ばれます。
「おくんち」とは「お九日」のことです。
「長崎くんち」は、江戸検の参考図書「江戸の祭礼と歳事」にも載っています。
「長崎くんち」は長崎の氏神「諏訪神社」の秋季大祭で、現在は毎年10月7日・8日・9日に行われます。
しかし、元は、旧暦の9月7日~9日におこなわれたようです。
「長崎くんち」のホームページにも「重陽の節句、菊の節句の9月9日の『くにち』が「くんち」となったとする説が一般のようである。」と書いてあります。
なお、九州地方では、祭日が9月9日でもなくてもこの時期に行なわれるお祭りは「おくんち」とか「くんち」と呼んでいるようです。
「長崎くんち」のほかに「唐津くんち」「佐世保くんち」「伊万里くんち」などが有名だそうです。