日枝神社の3回目は、山王鳥居と日枝神社の社紋について書きます。
この参道に、大きな鳥居がありますが、この鳥居の形式が山王鳥居と呼ばれる日枝神社独特の鳥居です。
右上が永田町側の山王鳥居で、右下が赤坂側の山王鳥居です。
神社にはご存知の通り鳥居がありますが、その鳥居もよくみると微妙に違っています。
鳥居の形もいろいろあって、細かく分けると20近くの形式になるようですが、大きく分けて「神明鳥居」と「明神鳥居」に分けられます。
「神明鳥居」というのは伊勢神宮の形式です。
東京では芝大神宮の鳥居が代表的です。
(右写真)
「明神鳥居」というのは「神田明神」の鳥居です。
(右下写真)
神明鳥居と明神鳥居を見分けるポイントの一つは鳥居の一番上の横木(これを笠木といいます)が直線であるものが「神明鳥居」で、反っているのが「明神鳥居」です。
山王鳥居は、明神鳥居の一種で、明神鳥居の上部に三角形の破風(屋根)が乗った形をしています。
この鳥居は、合掌をしている形に見えることから「合掌鳥居」とも呼ばれるそうです。
また、この「山王鳥居」には「山王」という文字が隠されているとも言われます。
鳥居の上の三角形の上の2辺を左右に開くと山という字になります。
また三角形の2辺の左右の端を上にあげると王という字になります。
あわせて山王となります。
なるほど「山王」という文字が隠れていますね。
先日の鬼平散歩(赤坂)で、日枝神社にお参りした際には、宝物殿の前に、「フタバアオイ」の鉢植えがありました。右下写真参照。
フタバアオイは馬の鈴草(ウマノスズクサ)科の植物で、ハート形の葉を二つつけるのでフタバアオイの名がつけられました。
フタバアオイですぐに思い出すのは徳川家の「三つ葉葵」ですが、「ミツバアオイ」という植物はなく、「フタバアオイ」を図案化したものと言われています。
鬼平散歩に参加された皆さんは大変興味深そうに眺めていました。
なぜ、日枝神社に「フタバアオイ」があるのかというと、日枝神社の社紋が「丸に二葉葵」と呼ばれる紋だからです。
日枝神社の社紋は、社殿の回廊の外にある山車庫に描かれています。
こうした社紋を見て、山王権現は「将軍家の産土神」であったし、山王祭を将軍が上覧していたことを考えて、参拝者は「丸に二葉葵」の社紋を将軍家から拝領したのではといった推測をするようです。
現に下見でお参りしていた際に、こうした考えを声高に説明している人もいました。
しかし、「丸に二葉葵」の社紋は、徳川家とは関係がありません。
右写真は下鴨神社の境内図ですが、そこに「二葉葵」が描かれています。
日枝神社と賀茂神社は、お祀りされている神様に関係があります。
日枝神社の主祭神は、「大山咋神(おほやまくひのかみ)」ですが、この大山咋神(おほやまくひのかみ)の妻が「下鴨神社」の祭神「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」です。
そして、大山咋神(おほやまくひのかみ)と玉依姫命(たまよりひめのみこと)の間にできた子供が「上賀茂神社」の祭神「賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)」です。
こうしたこともあって、日枝神社では「丸に二葉葵」の紋を使用しているようです。