日曜日に開講した獏塾公開講座では、開講前に塾生の皆さんから参考図書を紹介して欲しいという依頼がありましたので、いくつかの参考図書を紹介しました。
江戸検の今年のお題は「幕末・維新を駆け抜けた人々」ですので、幕末と戊辰戦争に関する本を紹介しました。
幕末については、激動の時代であったため、「非常におもしろい」という人がいる一方で「幕末は複雑で全くわからない」という人がいて、非常に幅があります。
「おもしろい」という人は男性に多いように思いますし、「難しい」という人は女性に多いように思います。
このように、江戸検を受検される皆さんでも、幕末・維新に関して現在もっている知識のレベルはそれぞれ様々ですので、誰にでもあてはまる参考図書を紹介するというのはなかなか難しいと思います。
一応、私なりにレベル分けして紹介しますが、一度、手に取って内容を確認してから入手していただいたほうがよいと思います。
今日は、初級レベルと中級レベルと思われる本を紹介します。上級レベル以上は次回紹介します。
1、初級レベル(ほとんどわからない人用)
幕末・維新がわからない人には図解されていて、解説もコンパクトのものが良いと思います。
次の二つの本は、書店やアマゾンで入手できますし、楽しみながら読めると思います。
『オールカラーでわかりやすい!幕末・明治維新』(西東社)(右上写真)
『カラー版徹底図解 幕末・維新』(新星出版社)(右写真)
どちらが良いかは、読者の皆さんの好みだと思いますが、挿絵は『オールカラーでわかりやすい!幕末・明治維新』の方がソフトで、『カラー版徹底図解 幕末・維新』は劇画調です。
2、中級編(ある程度知っている人用)
幕末・維新について知識があると思う人は次の本から読んでもよいと思います。
この本は、作家の半藤一利さんが、慶応丸の内シティキャンパスの特別講座で講義した内容をまとめたものです。
そのため、文章は口語体となっていますし、人名にも「さん」がつけられていたりします。
ですから、堅苦しい文章は苦手という人には読みやすいと思います。
ただ、半藤さんはお父様が長岡生まれだそうで、佐幕派的立場で書かれています。
『幕末・維新―シリーズ日本近現代史①』(井上勝生著 岩波新書)
井上勝生氏は北海道大学の教授です。
幕末の通史が150ページという少ないページ数の中にコンパクトに書かれています。
幕末について一定の知識のある方は、一気に読めると思います。
この本では、過去に江戸検1級に出題された幕末問題についても書かれていますので、一度読んでみても良いと思います。
ただし、戊辰戦争については2ページしか触れられていませんのでご注意ください。
『すっきり読める奔流の時代幕末維新』(青山忠正著 新人物文庫)
青山忠正氏は、この本を書いた当時は佛教大学の教授をされていた研究者ですが、この本は研究書としてだけなく読み物として書いたそうです。
文庫ですので、幕末の知識がある程度ある方であれば、なんなく読めると思います。
上級編いじょうについては次回紹介します。