お岩さんのお墓(江戸のヒロインの墓⑲)
江戸のヒロインの墓ですが、今日は四谷怪談で有名なお岩さんのお墓を案内します。
お岩さんは「東海道四谷怪談」の主人公として大変有名ですので、お岩さんは芝居上の人物だと思う人が多いと思いますが、そのモデルとなったお岩さんは、実在の人物とされています。
そのお岩さんのお墓があるのは、西巣鴨の妙行寺です。(下写真は本堂です)
都営地下鉄西巣鴨駅A4番出口から徒歩6分の距離にあります。
妙行寺は、法華宗陣門流のお寺です。
妙行寺は、寛永元年に赤坂に創建され、江戸時代には四谷鮫ヶ橋にありました。
明治40年に東京府による市区改正事業のため現在地へ移転しました。
妙行寺の宗派は法華宗(陣門流)のお寺です。日蓮の流れをくむ宗派は日蓮宗だけだと思いましたが、実は多くの宗派があるようです。
日蓮宗は久遠寺(身延町)を中心とする宗派で、日蓮宗のほかに、法華宗があります。さらに、法華宗にも多くの教団があり、法華宗(陣門流)というのは、新潟県三条市にある総本山本成寺を中心とする教団だそうです。
お岩さんのお墓は本堂西側の墓所の最奥部にありますが、案内がしっかりしているので、探すのは容易です。
実在のお岩さんは、御家人の田宮又左衛門の娘で、旦那さんは田宮伊右衛門といいました。
妙行寺の説明では、夫の田宮伊右衛門は、隣家の娘とねんごろになりお岩さんを虐待していました。
お岩さんは、寛永13年2月22日になくなり、妙行寺に葬られました。
当時、妙行寺は四谷にありましたので、田宮家とはあまり遠くありませんでした。
最初、お岩さんの法名は「得証妙念」という簡単なものでしたが、田宮家には「災い」がたえなかったため、「得證院妙念日正大姉」と改めました。それからは、田宮家にも災いがなくなったといいます。
お岩さんがなくなったのは寛永年間で、お岩さんが主人公の有名な「東海道四谷怪談」を鶴屋南北が書いたのはお岩さんがなくなって約200年もの後です。
現在も、お岩さんに塔婆を捧げ熱心に祈れば願い事が叶うということから多くの塔婆が捧げられています。
赤印が妙行寺です。