明治神宮の森は人工林(原宿散歩③)
原宿散歩の3回目は明治神宮の森についてご紹介します。
明治神宮をお参りすると神宮の森がうっそうとしていてい深山にいる雰囲気があります。
下写真は第一鳥居を写した写真ですが、クスノキの大木などでうっそうとした樹林となっています。
ですから、この神明治宮の森を見て、人工林だと思う人は少ないだろうと思いますが、この明治神宮の森は、人工的に造られた森です。
明治神宮が鎮座した場所一帯は南豊島御料地(皇室の所有地)でしたが、その景観は、畑や草原がほとんどで、全体の五分の一ほどの現在の神宮御苑一帯に林があるだけという状態だったようです。それが、再来年に明治神宮は鎮座100年を迎えますが、いまや神宮の森は自然林同様の森となっています。下写真は南参道とその周辺の森です。
畑地中心の土地をうっそうとした樹林にするために当時の最先端をいく植物学者や造園学者たちが集められました。
その人たちは、明治神宮に何を植えたら立派に育つか、また100年後自然の状態になっていくにはどんな樹種がよいのか等について検討を重ねました。
検討の結果、この土地の気候風土にあったカシ、シイ、クスノキなどの照葉樹を植えることに決定したのです。
しかし、当時の内閣総理大臣であった大隈重信は「神宮の森は杉林にするべきだ」として伊勢神宮や日光東照宮の杉並木のような雄大で荘厳なものを望んでいました。
しかし当時の造苑関係者は大隈重信の意見に反対し、谷間の水気が多いところであれば杉は育つが、関東ローム層の代々木では不向き、杉は都会に適さないこと等を説明してようやく納得させたそうです。
明治神宮の造営工事は、大正4年から始まりましたが、まず、最初に手がけられたのが、神宮の森の造営でした。
全国から植樹する木を奉納したいと献木が集まり、北は樺太から南は台湾まで、さらに満州、朝鮮からも届き、全部で10万本を超える木が献上されたといいます。その種類は在来種等を含め365種だったそうですが、東京の気候にそぐわない種類もあり、現在では234種類になっているそうです。
樹木数は50年後の調査では約17万本に増えていたそうで、再来年には鎮座百年を迎えますが、それ以上に増えているだろうと想像されます。
明治神宮の森は、現在では、すっかり当初の造園関係者たちが期待していた自然林の状態になっています。